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「自社のコアコンピタンスをどうトータルに活かすのか?」

髙梨智弘 (日本イノベーション融合学会理事長)

コアコンピタンスは、一般に業界他社と比較し、圧倒的に上回る能力を持っていることである。
コアコンピタンス経営というように、他社と比較して差異化できるコアの技術や能力、安定した販売先、資金力、イノベーティブな企業文化等は、変化する市場において競争力を維持するために、最も重要な要素である。
実際には、コアの技術だけで成功するケースは少ない。
そこを打破するためには、変化する市場で勝ち抜いている企業のように単一のノウハウにしがみつかず、複合的に多様な顧客や市場のウオンツ・ニーズを分析し、コア技術をベースに、なるべくコストをかけず自社でできる業務を業種の特殊性に囚われずに外部の知も結集し開発することが重要成功要因である。
そのために、業界を越えた国内展開に加えて、できれば海外を含めた市場開拓を行い、更には、個人能力を広く活用した多様な研究開発の促進と個々人のやる気を引き出すための分社化も解決策の一つである。
分社化をする理由は、相当のコストを投入し商品開発を続けるための創造的な集団をつくる努力が必要だからである。
つまり顧客や市場へのベストソリューションを提供するために、自社に拘泥せず、取引先、業界、更にはオープンイノベーションを起こすべく外部の知を結集しヒト、モノ、カネ、情報、知、環境の戦略経営資源をバランス良く投入し、自社のトータルコンピタンスの向上を狙った知の経営(ナレッジマネジメントの進化系)を実践することが成功の秘訣である。
具体的には、今まで脚光を浴びてきたPDCA(計画ー実行ー統制ー改善)という管理サイクルから、環境を捉まえた最適な戦略を策定・実行するSPDLI(戦略ー計画ー実行ー学習ー改革)という経営サイクルを回すことである。
それは、大所高所から全体を見ることで全体の変化が、現場にどう影響するかを理解した知の経営の実践である。
環境の変化に適応するために決めた新たな企業ドメインにおいて、新たに構築したビジネスモデルを最適な形で実行するために必要な知(知識と知恵と知心)のベストプラクティスを企業内外から導入し、バランス良く活用することである。
つまり自社のコア技術にこだわって、それを単に売るのではなく、自社のコア技術をベースに関連する外部のコンピタンスを加味して新しいコンピタンスを開発するという知の共有プロセスを最重要視しなければ、自社のコンピタンスをトータルに活かすことにはならない。企業の規模や業種、市場での立ち位置を越え、知を共有することで新しいコア技術+αを獲得することが企業の成長を促す。

 

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