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装置産業のイノベーション推進へ

経産省の商務保安グループでは、IoT・ビッグデータ等を活用した産業保安のスマート化に取り組んでいる。
近年、わが国のプラントでの重大事故の原因を調べると、プラントの老朽化とベテラン従業員の引退からリスクが増大しつつある。海外事業所を含めたサプライチェーン全体の高度化や、ヒトを補完するIoT、ビッグデータを活用し、自主保安力を高めていくことで企業の「稼ぐ力」を向上させていけるとして、スマート化の検討を進めている。
わが国のエチレンプラントの場合、稼働年数40年以上が58・9%(2014年)、石油精製事業所の51歳以上の従業員は34・6%となっている。そのため、故障・老朽化、誤操作・誤判断の防止が焦点となる。
設備の腐食状況や微細な傷を把握するセンサ技術には、配管の中を内視鏡検査のように走行する、超音波センサを搭載したインテリジェントピグ、非破壊で音波を検知するアコースティックエミッションセンサが有効だ。
また、設備の動作状況から故障・寿命を予測するビッグデータ・AI技術にも着目している。1つは、定期検査の約6割をなくせるスマートバルブ/HART通信を活用した高度センシング、各種ビッグデータと配管の腐食率の相関を分析することによる腐食解析予測モデルが有効であることがわかってきた。
さらに、運用・管理面の課題への対応では、温度と圧力のセンサデータから濃度を推定する「第3のセンサ」を生み出す技術として、ソフトセンサに注目が集まっている。これを活用すればリアルタイムに成分分析が可能となるため、東大を中心に複数のプラントで実証実験が進められている。
「ソフトセンサは中期的にプラントの保安力を底上げできる技術であり、世界的にもまだ商業化されておらず、大きなビジネス機会を獲得できる可能性がある」(同省商務流通保安グループ・岡野克弥保安課長)。
その他、ヒトが気づかない変化を感知する多変数分析、過去のデータを元に「未来の変動」を予測し、異常時に大画面の表示する近未来予測モデル、ヒトによる定常時/異常時の運転支援システム(ダイセル方式)などがある。
いずれにしても、先進的なファシリティマネジメントを通じて、自主保安力を高める「安全投資」は今後、わが国には必須となってくるため、産業保安におけるIoT・ビッグデータ活用によるスマート化の進展のスピードが早まることは確実だ。

IoT・ビッグデータ・AIを活用した装置型産業のイノベーションの推進(産業保安のスマート化)

IoT・ビッグデータ・AIを活用した装置型産業のイノベーションの推進(産業保安のスマート化)

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