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キリンビール高知支店の奇跡

キリンビール高知支店の奇跡

第47回
『キリンビール高知支店の奇跡』
-勝利の法則は現場で拾え!
 田村 潤 著/講談社(講談社+α新書)/780円(税別)

社員たちの自発性を育てることで
低迷していた業績を反転させる

日本のビール業界では、とくにアサヒ、キリンの2社がトップシェア争いを続けている。2009年にキリンは首位奪回を果たすが、そのときに代表取締役副社長兼営業本部長として全国本支店の指揮をとったのが本書の著者、田村潤氏だ。
本書では、著者が1995年にほぼ左遷のように赴任した高知支店長としての改革の経緯を中心に、自身の営業に対する考え方と戦略を語っている。
著者は業績不振の高知支店をわずか2年半で、アサヒからトップシェアを奪うまでに回復させた。社員たちを、「自分で考える」集団に変えたことが原動力となった。
著者は、キリンのあるべき理想の状態=「ビジョン」を頭にイメージさせ、それを実現するにはどう工夫したらよいか、自分で考えざるを得ない気風をつくることに成功した。たとえば田舎の地域を担当していた営業マンは、農作業をしている畑を前にして「あのビニールハウスのすべての冷蔵庫にキリンビールが入っていたらすごいな」とイメージした。そしてそれを現実のものとするためにビニールハウスをかたっぱしから回った。
また、高知の人々が何であれ「一番」を好むことに目をつけた。「高知県民が全国で“一番”キリンを飲んでいる」というデータに着目し、それを強調した広告を展開した。高知人としての誇りをくすぐり、「じゃあ、キリンを飲んでやろう」と思わせるのに成功したのだ。そして人々がそう思ったときにそこに確実に商品があるように、地道な営業活動を続けさせた。「高知支店の奇跡」は、このようなエリア広告と営業活動のシナジー効果で起きたのだ。

 

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