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『ロケット・ササキ』-ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正

『ロケット・ササキ』-ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正

第49回『ロケット・ササキ』-ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正
大西 康之 著/新潮社/1,500円(税別)

元シャープのレジェンド、佐々木正氏が
生涯をかけて追い求めた「共創」の力とは?

かつて世界を席巻した日本の電子産業。その技術の進歩をリードし、影響を与え続けた伝説の人物が佐々木正氏だ。戦後、神戸工業を経て早川電機(後のシャープ)に入社し、「戦闘機のスピードでは追いつけない。『ロケット・ササキ』だ」と米国のエンジニアに驚かれたスピーディな着想と行動力、国内外の広い人脈で同社を日本を代表する電機メーカーの一つに育て上げた。本書は孫正義氏の「大恩人」としても知られる佐々木氏の、波乱万丈の足跡を辿る評伝だ。

佐々木氏のモットーは社内の人材・技術のみにとらわれず、たとえ他社であっても協力を仰ぎ、共に新しいものを創る「共創」だ。その原点は、高校時代の実習テーマ「リンゴマンゴー」にある。マンゴーは南国の果物で、寒い地域の果物であるリンゴを接ぎ木するには工夫が必要。成功すればまったく新しい種「リンゴマンゴー」が育つ。異質なものを合わせることで、新たな価値が生まれるのだ。

本書によれば佐々木氏は、突然訪ねてきたスティーブ・ジョブズに、この「リンゴマンゴー」の話をしたという。ジョブズは当時アップルから追放されていた。だが、佐々木氏と会ったしばらく後に復帰し、“宿敵”だったビル・ゲイツと手を組んだ。これはまさしく「リンゴマンゴー」だった。
佐々木氏がシャープの経営の一線から外れた後、同社は「共創」とは正反対の道を歩んだ。シャープがその後どうなったかは、誰もが知る通りだ。不確実な時代だからこそ私たちは、佐々木氏が追求した「共創」の力について、深く考える必要があるかもしれない。(情報工場 編集部)

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