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この時期の海外論調は、7月10日に行われた参議院選挙で安倍首相率いる自民党が勝利し、安倍氏が政権基盤を固めたことを受け、順調とは言えない経済の活性化について安倍氏がどのような経済政策を展開するかに注目が集まる結果となった。

7月12日付けのフィナンシャルタイムズは、参議院議員選挙での勝利した安倍氏を「現代の民主主義国家ではかなり珍しい存在であり、政治の舞台で紛れもなく実権を握るリーダーになった」と表現し、安倍氏の悲願である憲法改正に近づいたとの見方を示した。

しかしながら、安倍氏には今回の選挙での勝利により掌握した国会勢力を異論の多い憲法改正にいきなり注力するのではなく、経済成長を促すアベノミクスを推し進めることに注力し、十数年続く断続的なデフレから日本を救い出すべきであると主張し、思い切った政策の遂行に期待を寄せている。

7月28日付けウォールストリートジャーナルは、安倍氏が事業規模で28兆円を上回る経済政策を8月に取りまとめる方針を発表したことについて、「安倍氏がこれまでの財政措置では日本のもたつく経済を再活性化するのに十分ではないと恐れている現れ」とし、安倍氏が月末に金融政策決定会合を開く日銀に対し、金融政策を強化することで政府のこの措置と共同歩調をとるよう圧力をかけている背景についての見方を示した。

ここにいう金融政策の強化とは、「ヘリコプターマネー」を意味し、日本は最後の手段に出るのではないかとの観測が強まっている金融市場の見方を紹介している。

なお、「ヘリコプターマネー」について、ウォールストリートジャーナルは7月16日に内閣官房参与で米エール大名誉教授の浜田宏一氏のインタビュー記事を掲載しており、「日銀による政府債務の直接引き受けは行うべきでなく、もし行えば1930年代の軍備拡張の財政がハイパーインフレを引き起こしたような事態になりかねない」との見解を紹介している。

安倍氏が中銀による債務直接引き受けを支持しているバーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長と会談していることや、「ヘリコプターマネー」の支持者が「安倍氏が望む通り需要を喚起し、2%のインフレ率を最速かつ最も確実に達成する方法」であると考えていることが「ヘリコプターマネー」に関する観測が強まっている背景にあるとの見方を示した。

また、浜田氏は、日銀が債務引き受けを始めた場合、「財政拡張に歯止めがきかなくなる危険が非常に強い」と懸念を示している。

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