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平成27年1-12月の日本香料工業会の香料統計によると、香料の6割を占める食品香料は製造数量で前年比3・3%減、販売数量で同3%減となった。製造金額、販売金額とも前年比ほぼ横ばいであった。「2014年の数字が前年の製造、販売数量、金額とも大きく割り込んでいたので、2015年の横ばいの数字にはショックを受けている」(香料工業会・染谷専務理事)。相次ぐ天候不順、震災の影響、少子高齢化がボディーブローのように効き始め、消費が伸びない要素が通常化してきている。食品香料にとっては、新しいフレーバーの登場とともに、中国・東南アジア市場開拓が急務となってきている。

香料の15%を占める香粧品香料は製造数量、製造金額とも横ばいであったが、販売数量同4・9%増、販売金額も同5・9%増と伸びたのは、香りの良さを打ち出した洗濯における洗剤や柔軟剤の上質化がトレンドになってきたことが大きい。

これで香粧品は6年連続して前年を上回って成長してきている。今後もよりグレードアップした香粧品への需要も強く、香りによるリラックス感を訴求ポイントにして今後も安定して市場を伸ばしていくだろう。また、一方で香りが強いと意識する人向けの香粧品も出回り始め、香りを中心とした多様な製品が登場してくることから期待されている。

天然香料、合成香料を加えた香料産業全体の1-12月の製造数量は6万2503トンの同0・4%減、販売金額は同0・9%増の2014億3000万円となった。

日本の香料産業は多品種少量生産で付加価値が高く、企業数も多く、高品質できめ細かい香りに柔軟に対応できる。今後、国内市場は少子高齢化が進むため、大きな成長は望めないが、海外市場開拓はまだ緒についたばかりである。海外でのブランド化、高級香料としての地位を獲得する戦略で望んでいけば、着実に市場をつかんでいけるであろう。

今夏は猛暑が見込まれるため、業界関係者は「新しい食品フレーバーがヒットしてくれないか」と期待を寄せている。また。2020年には東京オリンピックがあり、海外から多くの観光客がやってくる。「そこで日本の繊細な食品フレーバーファンが増えれば」とひそかな期待を寄せている。しかしながら、ここしばらくは香粧品香料が業界を引っ張る構造が続くのは間違いない。

 

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