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情報化月間の経済産業大臣個人表彰を受けて

(IPA)前理事長  藤江 一正 氏

(IPA)前理事長  藤江 一正 氏

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)前理事長
藤江 一正 氏に聞く

私は1944年(昭和19年)生まれで東京育ちです。中学、高校、大学と慶応で過ごし、卒業後1967年(昭和42年)日本電気(NEC)に入社しました。すぐ府中工場に配属となりましたが、当時の府中は田んぼのど真ん中。長靴を履いて出社する私を見て母は嘆いていました。

しかし、NECの無線部門や防衛部門などの生産管理に関わり、ものづくりを徹底的に学べたことが後の私の財産となります。その後、NECはC&C(コンピュータ&コミュニケーション)を掲げました。防衛省へのシステムの売り込みの際、同じ工場で隣同士であったコンピュータ部門と交流していたことが活きました。システムの中にいろいろなアイデアを盛り込み、システム的な構想を身につけた提案が好評でした。

その後、執行役常務を経て2006年(平成18年)に代表取締役執行役員副社長に就任しました。そして、NEC特別顧問をしていた時、西垣浩司IPA(情報処理推進機構)理事長(元NEC社長)から打診があり、「持病が悪化したので交代してくれ」と依頼され、2010年(同22年)7月、図らずも経産省からIPAの理事長の辞令を受けることになりました。

西垣氏のあとの任期(1・5年)を務めればと思っていましたが、当時は行政改革(仕分け)の真っ最中。IPAも他の独法との合併が話題となっていました。しかし、安倍政権が発足してからは流れが変わり、IPAはソフトウェアエンジ二アリング(SEC)、セキュリティ、人材育成(情報処理技術者試験)を3本柱とする、今のIPA事業が確立しました。2期目の任期中に情報セキュリティマネジメント試験の必要を訴え、経産省と連携して情促法の改正に取り組み、新試験が追加できたことはとても感慨が深いです。

また、標的型サイバー攻撃が激化する中、セキュリティ専門人材の不足が叫ばれ、NISC(現内閣サイバーセキュリティセンター)の要請に応え、セキュリティ人材20名をIPAから併任させたことも印象深い出来事です。

また今回、長年、関わってきた「インターネットITS(高度道路交通システム)協議会(IIC)」(現会長)の20余年の活動も評価されたことも嬉しく思います。仕事上、その時々で良き先輩や部下に恵まれました。つくづく、運の良い人生であったと思います。これまでお世話になった皆様と関係者の方々に心より、感謝申し上げます。(談)