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SERENDIP選書

第52回
『物流ビジネス最前線』
-ネット通販、宅配便、ラストマイルの攻防
齊藤 実 著/光文社(光文社新書)/740円(税別)

ネット通販の拡大に伴う「物流」の変化とは?
多様化するニーズに合ったサービスも続々登場

アマゾン、楽天市場といったネット通販では「物流」が生命線だ。したがって、ネット通販の利用者が拡大するにつれ、これまでは企業活動を地味に支える存在にすぎなかった物流が、経済全体にも影響を与える重要な存在として注目されるようになっている。本書ではネット通販、ネットスーパーなどの「物流」に関係するビジネスや、当日配送・送料無料サービスの競争、ドライバー不足の問題などについて幅広く論じられている。

ネットスーパーの市場規模は2014年度で約1200億円、今後も年2〜3割という驚異的な成長が見込まれているという。背景にあるのは、近隣のスーパー・小売店の閉店や、高齢化により自身で買い物に行けないなどの「買い物難民」の増加だ。

本書では、実際に高齢社会に対応するべく大手物流業者のセイノーホールディングスが立ち上げた、ネットスーパー専用に配送業務を行う「ココネット」という会社が紹介されている。ココネットでは、自社で雇用した女性従業員にホスピタリティ教育を施した上で、ドライバーとして配送業務に就かせている。直接お客様に接するドライバーには、リアル店舗の店頭で働く販売員と同レベルの接客スキルが必要と考えているのだそうだ。ホスピタリティの高いサービスが、他社との差別化になるとともに、顧客満足度が向上されリピートにつながる。

物流ビジネスでは、「効率性」「信頼性」「ホスピタリティ」などのうち、どこにウェイトを置くかを考えることが、消費者の多様なニーズにフィットしたサービスを実現することにつながるのではないだろうか。(情報工場 編集部)