政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


経済産業省では平成24年より、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を推進しているが、ここ数年、ZEHに対する需要の高まりを感じている。これからZEH普及のための政策的背景、具体的な推進施策について述べたい。

石油危機以降、省エネルギーが進み、GDPは2・5倍に成長したが、エネルギー最終消費量は1・3倍にとどまった。この間、エネルギー効率が4割改善したため、わが国は世界最高水準のエネルギー高効率を実現している。

産業部門は2割減となったが、逆にライフスタイルの変化で、家庭部門は2倍、業務部門は2・9倍とエネルギー消費が増えてしまい、この2つの部門の省エネ化が急務となってきている。

わが国のエネルギーの将来見通し(2030年度)を政府はまとめている。1・7%の経済成長の中、対策前比13%減の省エネを図る、再生エネルギーと同等の量の削減という野心的な目標を立てている。

この長期エネルギー見通しの中、5030万キロリットルの省エネ対策をどう行うのかを述べる。このうちの5割が業務用と家庭部門であり、業務では建築物の省エネとして省エネ基準適用義務化・ZEB、BEMSによる見える化、エネルギーマネジメント、家庭では同じくZEH、HEMSの導入、LED・有機ELの導入などに取り組む。

今後、経産省は規制と支援の両輪による徹底的な省エネに取り組む考えだ。住宅・建築物では新築に関して、1つは省エネ適用基準の適合義務化を2020年までに行う。2つめは建材へのトップランナー基準制度導入の拡大、3つめは2020年までに新築戸建注文住宅の過半数をZEH化、新築公共建築物も同じくZEBを実現させていく。

4つめは既築の省エネリノベーションを2020年までに倍増させていくため、補助金による導入支援を考えている。

2020年の目標を達成するため道筋として「ZEHロードアップ」を作成している。ZEHとは、高断熱化と高効率設備と太陽発電により、1年間で消費するエネルギー量を概ねゼロとする、従来マチマチであった住宅の定義を決めている。1つは、ストックとしての住宅形成を図るため省エネ基準を強化した高断熱ZEH基準、2つめは空調、換気、照明、給湯設備を省エネ基準より20%以上効率の良い設備とする、3つめは太陽光発電を使い、100%省エネを達成した住宅をZEHの要件とした。しかし、環境その他の影響で省エネ75%以上の住宅もニアリーZEHとして認める配慮をしている。

今後の取組みとしては、ハウスメーカー、工務店の自主的な普及努力に対し、補助支援を行い、中小工務店へのノウハウ提供、人材育成、ZEHの標準仕様化、ZEHの住まわれ方や使用実績データの収集・分析、その結果の公開などにより、ZEHのブランド化につなげて行きたいと考えている。

28年度のZEH事業予算は、住宅(ZEH)・ビル(ZEB)の革新的省エネルギー技術導入事業として、前年並みの110億円の補助事業を用意している。

また今年度はZEHビルダー制度を設けた。2020年までに提供する住宅の過半数をZEH化するハウスメーカー・ベンダーをZEHビルダーとして登録し、ZEHビルダーに依頼して建築したZEHに対し補助を行っていく。そして建築実績の報告を受け、公表していく。この制度への関心は高く、工務店の集まりであるJBNがまとめた「地域工務店のZEH使用例」など積極的に取り組んで頂いている。

また、住宅建材の団体がZEH普及のための中小工務店向け分科会を作って対応して頂いている。誠に心強い取組みであると思っており、期待している。