政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


第56回
『空気の作り方』
池田 純 著/幻冬舎/1,400円(税別)

20161115_12

プロ野球・横浜DeNAベイスターズの驚異的な人気をつくった「空気」とは

今シーズンのプロ野球の話題の一つに、横浜DeNAベイスターズによる球団史上初のクライマックスシリーズ進出がある。2006年から10年連続Bクラス(リーグ4位から6位)と低迷していたチームの成績とは裏腹に、近年では横浜スタジアムのホーム試合が連日満員になるなどの人気球団になっている。

そんなベイスターズの躍進をつくったのが本書の著者、池田純・前球団社長だ。池田さんは、2011年に初代社長に就任。以降4年間で観客動員は65%アップ、売上も80%増えたという。本書では、何がベイスターズを人気球団に押し上げたのか、池田流マーケティング・経営戦略を解き明かしている。

球場の観客動員数は通常、試合の勝敗やチームの強さ、天候などに左右される。だが、これの要因はいずれも経営側がコントロールできないものだ。そこで池田さんは、コントロールできる領域をしっかりとおさえることに重点をおくことにした。

池田さんは、顧客データを分析するとともに、新聞などで日々のニュースに目を光らせることで、球団を取り巻く「空気」を探った。そして、地元の人たちと積極的なコミュニケーションをとりながらベイスターズの魅力を伝え、経営の革新性・透明性を示すことで信頼を獲得。さらに、横浜という街のイメージに合わせたブランディングを行うことで一体感を生み出し、人気球団としての「空気」をつくり出したのだ。

池田さんは2016年10月をもって球団社長を退いたが、彼の残した「空気」は、今後のベイスターズを前進させる原動力になるに違いない。(情報工場 編集部)