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日銀のバランスシート「綱渡り」的

-日本を見る世界の目 10月後半-

この時期の海外メディアの関心は、安倍政権の経済政策であるいわゆる「アベノミクス」のリスク面に集中し、安倍首相の政治的スタンスと相まってアベノミクスの行く末を危惧する論調が目立つ結果となった。
10月16日付けウォールストリートジャーナルは、安倍氏の根本的な目標は、中国や韓国との闘争のために日本を「強くする」ことにあるとし、日本がどのような方法で成長を遂げるかは「二の次」で、日本経済が成長し、技術と革新の最先端にあり続けることが最優先であると分析している。
そのため安倍氏は、リベラルな改革者を「装う」面があり、成長戦略の中心であった労働市場改革の取り下げ示唆は安倍氏自身の姿勢が一貫していないことの現れであり、安倍氏が取り組んでいる成長戦略への過度の期待は戒めるべきとの見方を示した。
また、安倍氏自身については、経済成長を促進しながら利益を幅広く再分配するために国家権力を使って強大な支配体制を作り上げてきた自民党の歴史的なスタイルに倣い、国が中心となった経済協調策を志向しており、「古い自民党に立ち返ろうとしている」との疑念を示した。
その中で、政権復帰後の財政刺激策や公共投資計画はまさに「古い」土建国家の名残であり、「古い」世代の経済政策を指揮した通商産業省の後継組織である経済産業省がミクロ政策を調整するために、多くの諮問委員会、企業幹部らと連携していることは、小泉政権以来の「小さな政府」や「官から民へ」という流れに逆らうものである。
日本の資本主義のあるべき姿について具体的に考えていないという実体を隠しており、既存の制度を下手に「いじり回している」として厳しく批判している。安倍氏が主導する成長戦略そのものは、発想が古く、経済停滞と闘う歴代の日本の首相が提示してきたこれまでのロードマップよりも大きな成功を収めるとは考えにくいと厳しい見方を示した。
一方、同日付けのフィナンシャルタイムズは、中央銀行のバランスシートについて、国の経済規模と比較した場合、日銀のバランスシートは米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)のバランスシートよりも大きく拡大しており、市場が災難を被る余地が大きいことは「否めない」とし、予断を許さない局面にあると評価している。
また、国際通貨基金(IMF)が先週、世界経済の成長見通しを下方修正したことを受け、経済成長が達成できず、世界経済の回復が躓くようなことがあれば、市場から楽観論が消え去り、アベノミクスに「ヒビが生じる」ことになりかねず、量的緩和という日銀の「綱渡り」は一段と不確かなものになり、日本国債の利回りの上昇とともに不安要因であるとの見方を示した。

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