政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


TPP交渉の姿勢を批判

-日本を見る世界の眼 3月後半-

この時期の海外メディアは、「毎月勤労統計調査」など今月上旬に各種経済統計が発表されたことを受け、これまでの日本の経済政策の効果が期待ほど現れていないことに対する投資家の苛立ちが見られ、安倍首相に対し大胆な構造改革の実現に向け一層のリーダーシップの発揮を求める論調が目立つ結果となった。
3月5日付けのウォールストリートジャーナルは、厚生労働省が3月4日に発表した本年1月の「毎月勤労統計調査」において基本給が前年同月で0・1%と1年10ヶ月ぶりに増加に転じたものの低い数値にとどまったことについて、安倍氏の人気は生活をよくしてくれそうだという有権者の期待があるにもかかわらず、「安倍氏はこのような低調な数値を真剣に受け止めるべき」と指摘。
賃金面において目に見える効果が乏しい安倍政権の経済政策について苛立ちを見せている。また、基本給の伸び以上に消費者物価指数が上昇しており、持続的な景気回復への期待を裏切るもので、4月の消費増税以降の経済動向に注意を促している。
また、昨年10-12月期の企業設備投資が前期比0・3%減少したことに触れ、日本企業の足元の業績は好調であるものの、国内経済の先行きが不透明なため、企業は大幅な賃金引き上げには消極的であること表れであると分析している。
このように業績改善によって拡大するとみられていた設備投資と賃金の伸びはまだ実現していない現状においては、「労働者の所得が大きく改善することは期待できない」と悲観的な見方を示した。
こうした現状はすべて安倍氏の経済政策への打撃になり得るものであり、安倍氏がこうした状況を打開できる方法は一つしかなく、「大胆な構造改革の公約を守り、生産性の向上につながる投資を刺激することである」と公約の実行を求め、「不履行がもたらす政治的結末への関心が高まるだろう」と経済情勢次第では安倍氏を取り巻く政治情勢が一層厳しいものになるとの見方を示した。
一方、3月6日付けのフィナンシャルタイムズは、外国人投資家の投資行動に着目し、昨年の外国人投資家による株式の買越額は過去最高の1550億ドルに達したものの、今年は売り越しに転じ、売越額が120億ドルになったことを捉え、外国人投資家にとって日経平均株価は運用成績が最も良い株式指数の1つとして2013年を終えたが、2014年に入り約9%下落したため、最も悪いものの1つに数えられているとした。
多くの投資家は「投資を継続するさらなる理由を待ち望んでいる」といわゆるアベノミクス「第4の矢」を求めているが、この根幹をなす環太平洋経済連携協定(TPP)交渉において、米や小麦などの「聖域」に関し明らかに妥協しようとしない日本の姿勢を批判している。
TPPは構造改革のシンボル的存在であるため、交渉で進展が見られないことは、「投資家に日本への興味を持ち続けてもらうような改革が起こりそうにないことが日に日に増すことと同じ意味」であることから、「株式市場が自らの成果の主な尺度の1つとしている安倍政権には今こそ、相場を上昇させる取り組みが必要であると主張している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">