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第4回目 3SプラスEを視点に多層化・多様化構造へ

11日、新しいエネルギー基本計画が閣議決定された。今回の計画は第4次計画となるもので、東日本大震災以降、最初の計画となった。
政府が策定するエネルギー基本計画は、2002年6月に制定された「エネルギー政策基本法」に基くもので、03年10月に最初の計画、07年に第2次計画、10年3月に第3次計画が策定された。今回は、東日本大震災及び東京電力福島第一原発事故を始めとする、エネルギーをめぐる内外の環境変化に対応したもの。
今回の要点としては、まず第一にエネルギー政策は、安全性(セーフティ)、安定供給(エネルギーセキュリティ)、経済効率性の向上(エコノミック・エフシェンシー)のに、環境への適合(エンバイロメント)という3S+Eを基本的な視点としたこと。
第2にエネルギー政策は“多層化・多様化した柔軟なエネルギー需給構造”の構築をめざすこと。第3に、一次エネルギーの各エネルギーの位置づけを明確にしたことが上げられる。
特に電力供給において、発電(運転)コストが低廉で、安定的に発電できる「ベースロード電源」として、地熱、一般水力(流れ込み式)、原子力、石炭を上げた。次に、出力を機動的に調整できる「ミドル電源」として、天然ガス。
コストは高いが機動的に調整できる「ピーク電源」に石油や揚水式水力と振り分けた。
そして、再生エネルギーを安定供給やコスト面で様々な課題が存在するが、CO2削減やエネルギー安全保障に寄与できる、多様で、重要な低炭素の国産エネルギーと位置づけた。
また、原子力は、安全性の確保を大前提として、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、国内の保有燃料だけで数年、生産が維持できる低炭素の純国産エネルギーとして、エネルギー需給構造の安定に寄与する重要なベースロード電源として、位置づけた。
また、一次エネルギーの中では、現在、電源の4割超を占め、熱源として効率性が高く、利用が拡大している天然ガスは、石油と比べ地政学的リスクも相対的に低い。海外からのパイプラインを通じた輸入はないが、温室効果ガスの排出量は最も少なく、発電においてはミドル電源の中心的役割を果たしている。
さらに水素社会の基盤の1つとなっていく可能性を示した。
今回の計画では、最終需要家がエネルギーを利用する形態である二次エネルギー構造のあり方にも言及している。その中心が電気であるが、わが国の電力供給体制は、独仏のような欧州の国々に見られる系統連結がなされておらず、国内の供給不安時に他国から融通する体制になっていない。
また米国のような複数の州間に送電網が整備されていない。そのため、電源と系統が全国大でバランスがとれた形で整備・確保され、広域的・効率的に利活用できる体制の整備は不可欠であるとした。
そして、熱と電気を組み合わせて発生させるコジェネレーションや、将来の2次エネルギーとして期待される水素について、技術開発や低コスト化を推進し、戦略的に制度やインフラの整備を図っていく、としている。

千代田化工の水素サプライチェーン概略図

千代田化工の水素サプライチェーン概略図

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