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社外取締役設置に高い評価

日本の構造改革の加速に期待示す

-日本を見る世界の眼 5月後半-

この時期の対日海外論調は、社外取締役の設置促進などを目的とする会社法改正案が今通常国会で成立する見通しとなり、日本を代表する大手企業がこうした動きを先取りする形で社外取締役の設置に相次いで踏み切っていることに注目が集まり、日本の構造改革への一歩として期待が示される結果となった。
5月3日付け英エコノミスト誌は、オリンパス事件で明らかになったように、日本では「大株主が沈黙を保ち、見て見ぬふりをするという最も憂慮すべき特徴がある」と厳しく批判している。また、昨年、日本の大手上場企業約1400社のうち600社近くが社外取締役を1人も置いていなかったことを捉え、「韓国、中国、そしてインドでは社外取締役が必須となっているにもかかわらず、日本のコーポレートガバナンスは一部新興国より立ち遅れている」とし、日本の経営陣に対する監視体制の欠如は、慢性的な業績不振の一因となっているとの見方を示した。
一方、日本ではこれまでも、オリンパス事件の直後、当時与党だった民主党が会社法を改正して上場企業に外部取締役を少なくとも1人置くことを義務付けようと試みるなど改革に向けた取り組みはなされてきたものの、大企業のロビー団体である経団連に阻まれてきた歴史があると分析している。
そのような中で、安倍首相が社外取締役の設置をアベノミクスの礎に据え、自民党の最大級の伝統的資金源である経団連に対抗しようとしていることについて高く評価している反面、経団連が自民党案を骨抜きにしようとより緩い独自の指針を用意しようとしていることに警戒感を示しながらも、日本のコーポレートガバナンスについて「今回初めて不信感よりも希望の方が上回っている」と今後の日本政府の取り組みに期待を寄せている。
また、5月26日付けフィナンシャルタイムズは、みずほフィナンシャルグループが取締役13人のうち、議長と取締役5人を社外から迎える欧米型の統治体制を導入したことについて、「投資家に勇気を与えるもの」と歓迎の意を示した。
一方で、冷ややかに受け止める経団連の一部幹部による発言は、「アベノミクスの核心にある緊張を浮き彫りにしたもの」で、投資家が理解しやすい統治体制の導入に邁進する政府の取り組みに対し、経団連が独自の指針を策定しようと立ちはだかって抵抗しているとの見方を示した。
また、多くの自民党議員は経団連からの献金に頼っているため、政府与党内の改革派は厄介な立場に立たされているとの危惧を示しながらも、社外取締役の設置を義務づける会社法改正案など明るい動きもあり、引き続き政府主導で企業統治制度改革を加速させることを求めている。

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