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「リーダー論再考」 

鶴保征城 (HAL東京・大阪校長)

多くの識者が日本の危機的状況を指摘している。いわく、「国の借金が1000兆円を越えた」「エネルギー問題解決の見通しがつかない」「少子化に歯止めがかからない」「貧富の格差が拡大している」等々。まことにその通りだと思う。
そこで、NHK番組のテーマのように、「生み出せ!“危機の時代のリーダー”」ということになる。なぜ日本は、「首相が短期間で次々と変わるのか」「スティーブ・ジョブスのようなカリスマ起業家がいないのか」が喧々諤々(けんけんがくがく)議論される。
強いリーダーを求める傾向は世界共通だ。最近では、オバマや朴槿惠が熱狂的に支持されて選ばれたが、オバマは期待を裏切って任期を終えそうだし、朴槿惠も大苦戦している。
「苦しい時の神頼み」というのはわからないでもないが、今の時代は強いリーダーだけで解決できるほど問題は単純ではない。
明治維新後は「富国強兵」、戦後は「経済成長」という社会全体で共有できるわかり易いストーリーが存在し、わき目もふらず目標にまい進する(国民をまい進させる)人材が強いリーダーとされた。
戦争でいえば正規戦だったが今はゲリラ戦だ。戦場ではトップには予想できない問題が次々と起こっている。その解決には数多くのリーダー的素質を持った現場の人材が必要だ。
1億2000万人を引っ張っていく強いリーダーを求めるよりも、身近な100人、1000人を求めていく現場のリーダーを育てた方がよい。楽しみながら地域や小さな集団で貢献する社会起業家の役割も重要だ。
政治家も同じだ。国全体の改革や維新を声高く訴えることも大事だが、身近な問題を具体的に解決していく政治家が求められている。「リーダー論」にも再考の時期がきていると思う。

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