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社外取締役の有効活用を

鶴保征城 (HAL東京・大阪校長)

社外取締役の選任を促す改正会社法が6月20日、参院本会議で成立した。2015年4月に施行する見通しだ。改正法は社外取締役の義務化は見送ったが、選任しない企業には株主総会で理由の説明を義務づけた。
今回は、「本来、社外取締役を置くべきであるが、会社にとって、社外取締役を置くことが相当ではないという場合にのみ、置かないことができる」という考え方のようであり、単に、コストがかかるとか、人材が不足しているというような理由だけでは、「置くことが相当でない理由」にはならないと考えられる。
日本の企業は、取締役を出世の階段として扱うために論功行賞の色彩が強い。本来、執行役までは業務推進が役割の中心であるが、取締役は業績がよいだけでなく、コンピテンシーに優れて、より高い立場で会社のガバナンスや将来をリードしなければならない。最近では、このような取締役本来の役割が少しずつ認識されてきたとはいえ、まだまだ不十分であり、生え抜きの役員とは一味異なる幅広い知見を有する社外取締役への期待が大きい。また、社内のしがらみや利害関係に縛られずに判断できることも重要だと思う。
これまでは、「社内事情がわからない人に適切な経営判断は無理だ」とか「意思決定が遅くなる」という意見があったが、すでにこのような議論の段階は過ぎ、いかに優秀な人材を登用するかの時期に来ている。
筆者もいくつかの会社で社外役員を務めているが、社長や役員に対する辛口の意見や、当該企業が得意でない情報システム構築やセキュリティ対策への提言、海外IT企業の動向、M&Aにおける最近の状況など適宜、情報発信するようにしている。
どれぐらい役に立っているのかは全く分からないが、仮に、的を射ないような質問を発していたとしても、社外から見るとそうなのか、という見方をしてもらえると思っている。
一方で、注意しなければならないのは名ばかりで形式化してしまうことで、社外役員を有効に活用するには、トップ自身が経営的なメリットを追求するという姿勢が不可欠である。

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