政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


第4回
『シリアル・イノベーター』
「非シリコンバレー型」イノベーションの流儀

アビー・グリフィン/レイモンド・L・プライス/ブルース・A・ボジャック 著/プレジデント社刊/2,000円(税別)

ブレークスルー・イノベーションを期待するすべての企業人への深い洞察

シリアル・イノベーター

シリアル・イノベーター

画期的なアイデアがひらめいて、それを製品やサービスにして市場に出したい、と思っても、大企業という組織の中でそのアイデアを実現していくのは難しい。大企業では、新しい発想や画期的アイデアが、サポートされるよりも阻まれることのほうが多いからだ。
しかし、こうした状況を打開できる人材がいる。それがシリアル・イノベーターである。彼らは、大企業に所属しながら、画期的なイノベーションをシリアルに、つまり連続的に起こし、企業や社会に益をもたらす。
シリアル・イノベーターとは、本書の定義によれば次の5つの条件をすべて満たす者をいう。
①重要な課題を解決するアイデアを思いつき、②その実現に欠かせない新技術を開発し、③企業内の煩雑な手続きを突破し、④画期的な製品やサービスとして市場に送り出す、⑤この過程を何度も繰り返せる人材。
彼らがこれまでの技術者と大きく異なるのは③と④だ。彼らは自らのビジョンの実現のために、技術だけでなくマーケティングにも精通し、トップの承認を得るために人的ネットワークを動員するなど、政治的能力をも発揮する。
「そうした優れた人材が我が社にもいたら」と経営者なら誰でも思うだろう。ところが、実は“潜在的”シリアル・イノベーターは、すでにあなたの企業にもいるのだ、と本書は指摘する。ただし、彼らを見出すには、社内から彼らを特定し育成するためのスキルを、マネジャー自身が身につけなければならない。
本書はその点で現行の人事制度、採用制度の問題点にまで踏み込んでいる。かつてのようなブレークスルー・イノベーションを期待するすべての企業人にとって貴重な洞察が得られるだろう。(情報工場・編集部)

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