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アベの失速の論調目立つ

労賃上がらず、内需シフトも起こらず

-日本を見る世界の眼 8月後半-

この時期の対日海外論調は、本年4-6月期の国内総生産(GDP)が6.8%のマイナス成長となったことを捉え、安倍首相が主導する「アベノミクス」の欠点が露呈し、安倍氏に落胆する論調が目立つ結果となった。

8月1日付けのウォールストリートジャーナルは、本年4-6月期の国内総生産(GDP)のマイナス成長、縮小している鉱工業生産、減少している個人消費、急低下している安倍氏への支持率などはアベノミクスが急停止する公算を強めることになるだろうとの見方を示した。特に24カ月連続の赤字となった貿易収支を捉え、安倍氏の円安政策は輸出量の増加にはつながらず、日本企業は豊富な労働力と成長市場がある海外で工場建設を着々と進めており、アベノミクスは目論見とは逆の方向に向かっていると評価した。
また、停滞している環太平洋連携協定(TPP)交渉においても貿易に関して日本の市場をさらに開放できなかったことはマイナス評価とすべきとの見方を示している。日本に今、必要なのは、「保護されている分野での生産性を高める投資を通じて国内消費を刺激できる健全で内向きな経済」であると主張している。
8月14日付けのフィナンシャルタイムズは、本年4-6月期の国内総生産(GDP)の縮小によって「アベノミクス」は失速しつつあり、その影響は2011年に東北地方を襲った大震災と津波以来最悪の景気縮小規模で深刻な状態にあることを重視すべきであるとの見方を示した。
このような中で安倍氏が今年4月に消費税率の3%引き上げを実施したことで多くの家計と企業の支出パターンを歪めることにもなり、安倍氏は計画されている追加の消費税引き上げについて熟慮が必要であるとし、家計の負担を軽くした方が賢明であると主張している。安倍氏は今こそ、構造改革の「第3の矢」に一段と弾みをつけなければならず、安倍氏自身の政治的影響力を最大限使い、労働市場の硬直性を解消する政策を強力に推し進める必要があるとした。

続く8月28日付けの同紙は、安倍氏の「3本の矢」はそもそも存在せず、通貨の下落しかなかったと厳しく評価している。また、安倍氏は抜本的な構造改革に取り組まなかったため、労働者の賃金が上昇せず、内需へのシフトは起きなかった、とアベノミクスの失敗を揶揄し、安倍氏は、「真の改革者」ではなく、将来を見据えることができない「回顧政治家」との見方を示した。安倍氏が唱える「3本の矢」の追加として「軍国主義という4番目の矢」が復活しないように願う、という皮肉を込めて安倍氏への落胆ぶりを表現している。

 

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