政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


攻めのITをどう進めるか

木内里美(株式会社オラン代表取締役)

世界最先端IT国家創造宣言

2013年6月14日に「世界最先端IT国家創造宣言」が閣議決定された。国のIT政策はいつも勇ましい。現状認識といままでの反省とこれからの位置づけが理念に書き込まれているので、つい期待をしてしまう。
行政の情報化の歴史を振り返ると、1994年12月に閣議決定された「行政情報化推進基本計画」が始まりである。まだインターネットの普及さえ拡大する前のことで、新鮮さと期待は相当なものであった。しかしその後の経過は惨憺たるものである。2001年には「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」、通称IT基本法が策定され、2003年には行政手続きオンライン化法が施行され、電子政府構築計画も閣議決定された。
e-japan(2001年)は総務省単独のu-japan(2006年)構想を挟んでi-japan(2009年)へと遷移し成果は2015年に先送りされた。体感できる成果の無いまま、賞味期限切れの頃に次のIT戦略が打ち出されてくる繰り返しだった。公共サービスのワンストップも2020年まで先送りである。
ここに政府のIT戦略の苦悩が見える。民間のIT戦略もそうであるが、ITが先行してうまくいくことはない。しっかりとした業務改革や制度改革を前提にしたIT戦略、つまり経営改革という方針で取り組まなければならない。そこにはITのわかる経営や業務のデザイナーが必要なのだ。行政にはまだそれが見えない。

「攻めのIT」を追い風に
一方、今年に入って経済産業省は成長戦略の一環として産業競争力強化のための「攻めのIT」を強く打ち出している。業務効率化や社内情報共有やバックオフィスの情報装備などの「守りのIT」ではなく、社外に向けたサービスの迅速化・効率化や情報の提供・発信など攻めのIT投資を経営者に促している。
ECやSFAやデジタルマーケッティングなどフロントの投資によって収益を高められる企業を競争力ある成長企業と位置付けている。企業のイノベーション創発も守りのITでは支えられない。いまや企業内イノベーターは攻めのITによって成果を出しイノベーションを社内に定着させている。産業界全体の活力のためにも攻めのIT投資は欠かせない。
攻めのITを行政に適用するとどうなるだろうか?行政サービスの効率化や行政コストの削減は守りのITそのものである。行政の攻めのITはオープンデータの活用促進やオープンイノベーションの誘発、ベンチャーを含む中小企業の活性化、そして住民側のフロントである地方自治体の電子サービス強化などではないかと思われる。結果として収益(=税)増収に繋がるのは間違いない。攻めのITを追い風に官民とも成長を遂げたいものだ。

 

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