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第5回
『なぜローカル経済から日本は甦るのか~GとLの経済成長戦略』

なぜローカル経済から日本は甦るのか~GとLの経済成長戦略

なぜローカル経済から日本は甦るのか~GとLの経済成長戦略

冨山和彦著/PHP研究所刊/780円(税別)
サービス業中心のローカル経済圏の生産性を高める大胆な戦略を提言

経済成長を考える際に、私たちはどうしてもグローバル展開をする製造業などの大企業を中心に見がちだ。かつての高度成長が「ものづくり」によって成されたことを引きずっている面もあるのだろう。しかし産業構造が変化した現代では、GDPと雇用の約7割を、サービス産業を主とするローカルな経済活動が占めているのだ。
本書では、製造業やIT産業中心のグローバル経済圏を「Gの世界」、かたや非製造業が主で不完全な競争しかないローカルな経済活動を「Lの世界」と名づけ、 比較しながら論じている。二つの世界それぞれ別々の成長戦略を用意して両者を共存させるべき、というのが、経営共創基盤代表取締役CEOを務める著者の主張である。
Lの世界における「不完全な競争」とは、ローカルなサービス業は地理的に顧客に密着していれば、価格や品質に競争力がなくても十分儲けられること。それがローカル経済圏全体の生産性の足を引っ張っている。ブラック企業の温床、優良な企業の人手不足の要因ともなる。
生産性の低い企業の淘汰を促すとともに「コンパクトシティ化」を目指すべき、という著者の切り口は鮮やかだ。もちろん問題点はある。生産性を高めるリーダーの育成から始めなければならないため、改革に時間がかかる。先祖代々の土地に愛着のある人々に移動を促すのも困難だろう。
だが、少子高齢化、若年層の流出等によるローカル経済の衰退は崖っぷちまで追い詰められていると言っていい。大胆に、それぞれの地域の個性化を図りながら「新しいローカル」を創る、公民双方の気構えこそが、日本を甦らせるエンジンになるのではないか。

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