政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


IPA・SEC(独立行政法人情報処理推進機構・ソフトウェア高信頼化センター)が発行しているSECジャーナルが創刊10周年を迎え、特別号をまとめた。その中で、名古屋大学未来社会創造機構の高田広章教授が「組込みシステムのこれから」をまとめていたので、要点を要約して紹介する。

高田教授によれば、「これからの10年は、ITに加え、組込みシステム技術(エンべデッドテクノロジー=ET)への依存が加速する」と予想している。M2M(マシン・トゥ・マシン)、IoT(インターネット・オブ・シングス)など、組込みコンピュータに制御された「機械」や「モノ」がネットワークを経由して、接続される。
クラウドは組込みシステムを通じて物理的な世界とつながることでより高度なサービスを提供するようになる、という。この統合システムが提供するサービスは、社会の利便性、快適性、効率化に加え、サステナビリティや安全・安心にも貢献する。
この統合システムの重要なキーワードが、コネクティビリティとビッグデータである。数多くの安価な組込みシステムをネットワークで接続するには、従来にないネットワーク技術が必要であるし、プロトコルの標準化も重要な課題である。
ビッグデータに関しては、組込みシステムはその入口と出口の役割を果たす。すべてのコンピュータがネットワークで接続されると、計算処理はどこでもよく、ネットワークによる機能再配置が起こる。しかし、すべての処理がクラウドで行えるのか?
高田教授はそうならないと考えている。「1つは、ディペンダビリティ(高信頼性」とリアルタイム性の確保である。ネットワークの信頼性や速度が上がったとは言え、100%の保証は難しい。2つめは消費エネルギーである。高性能コンピュータ(サーバー)は一般的にエネルギー効率が悪い」。そのため、クラウドと組込みシステムの間で、最適な機能配置を行うことが重要だとしている。
この最適機能配置を実現するための技術として、1つは統合システム設計の早い段階で、システムをモデル化し、最配置を決定する方法がある。もう1つは、機能配置を柔軟に変更できるようなプラットフォームを用い、機能配置の決定を設計の出来る限り遅い段階で行う方法がある。
このように統合システムの設計が複雑化していく中、取り組む際にはシステムのアーキテクチャを整理して取り組むことが不可欠である。その開発にはアーキテクチャから考え始めるトップダウン型の考え方が重要であるが、アーキテクトに権限を与える組込みシステムの開発は例がなく、今後は開発現場の見直しが必要である、と結んでいる。

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