政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


あらゆる制度で女性を活かす仕組み作りが必要

花村邦昭氏

学校法人大妻学院 理事長
花村邦昭氏

このたび『働く女性のための〈リーダーシップ〉講義』第2弾、新著『女性管理職のための〈リーダシップ〉セミナーQ&A』をまとめた元日本総研社長で、現大妻学院理事長の花村邦昭氏に「女性にとって働くとは?」について聞いてみた。

–女性にとって、働くとはどういうことか?
女性の活用が叫ばれ、2020年までに管理職のうち30%を女性にするという目標が示された。それは良いことだが、私がまず、一番訴えたいことは、どういう気持ちで就職するのか?人生をかけて働く覚悟があるのか?と言う点だ。
それは男性にも言える。最近の新入社員は、3年で4割が会社を辞めているらしい。それは、覚悟をもって就職していないからだろう。昔は、会社も真剣なら、入る社員も「この会社を改革してやる」くらいの気構えで入社したものだが、どうもそういう気構え、覚悟もなく、何となく就職し、何となく合わないから辞めるという傾向が強いようだ。
男女共同参画社会という政府の方針があるのだから、女性も一生働く覚悟が必要だ。腰掛的で良いとか、結婚したら専業主婦という考え方はこの際、やめにして、「職業婦人」になるという気構えで働いて欲しい。
–女性の能力をもっと評価すべきでは?
もともと女性は右脳と左脳を結ぶ、脳梁(りょう)が男性より太い。そのため、右脳と左脳を同時に働かせることができ、例えば子育てをしながら家事をすることができる。男性は画一性、一様性、規範性に傾斜していて、1つのことに集中してやるのは得意だが、同時多角的なものをてきぱき処理する能力は女性に比べ劣っている。
これからの世の中のリーダーシップは、従来の男性性原理「機械論パラダイム」、権力行使的な色彩の強い牽引型リーダーシップから、企画・調整的な色彩の強い参謀型リーダーシップ、女性性原理「生命論パラダイム」が求められている。これからの複雑系社会にあっては、生命論パラダイムに親和的な女性の方が優位な立場にある。
–しかし、日本は女性が一生働けるような社会制度、企業風土が整っていません。
日本経済は長年、いわば片肺飛行、男性中心できたために、女性が社会に進出しようとしても、さまざまな壁があり、課題が複合化している。その第1は企業に女性を活用するシステムがない。女性にとっては、活躍したくても理想となるような上司や管理職のロールモデルがないのが一番の問題だ。
そして会社側にも女性を盛り立てて、教育し幹部に育てようという、覚悟もプランもない。ストラテジーもない。これらが全て複合化している。「保育所」をたくさん作れば解決するというような生易しい課題ではない。あらゆる面での総合戦略が必要だ。
日本に残されている資源は「女性」しかない。知恵を出してこれを本気で活かそうとするならば国をあげて、地方も業界もすべてが知恵を出して取り組むべきだ。税制も変える必要がある。例えば、女性が働く、子育てをする中で、女性をサポートする優遇税制が全くない。昔は、扶養家族手当が支給され、併せて税の優遇があり、子沢山でもそれなりにやって行けた。
例えば企業の中で、社員のうち5歳未満の子供を扶養している社員が何人いるか、その子供の総数は全社で何名かを把握している企業が何社あるだろうか。
その数を競い合えば面白いことになるのではないか。そうなれば、うちは子育てがしやすい社会だ、ワークライフバランスのとれた会社だとPRでき、優秀な女性社員も来てくれるようになるだろう。「なでしこ銘柄」として注目されることになるだろう。

 

花村邦昭氏 略歴

1933年、福岡県生まれ。学校法人大妻学院理事長。
東京大学経済学部卒業。(株)住友銀行(現三井住友銀行)専務取締役を経て、1991年、(株)日本総合研究所社長に就任。会長を経て現在同社特別顧問。
2007年、学校法人大妻学院常任理事に就任。2008年より現職。
著書に『知の経営革命』(東洋経済新報社2000年、日本ナレッジマネジメント学会賞受賞)。編書に『生命論パラダイムの時代』(ダイヤモンド社1997年、レグルス文庫1998年)。他に、電子出版として、『大妻コタカ 母の原像』「働く女性のための〈リーダーシップ〉講義」がある

働く女性のための<リーダーシップ>講義

働く女性のための<リーダーシップ>講義

女性管理職のための<リーダーシップ>セミナーQ&A

女性管理職のための<リーダーシップ>セミナーQ&A

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">