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コンテンツマーケッティング―モノを売るな―

鶴保征城 (HAL東京・大阪校長)

ずいぶん以前から、「モノを売るな」と言われている。これに対して企業も努力しており、ソリューションやサービスにウェイトを移しているのだが、これらもハード離れはしているが、所詮はモノ売りの延長線上に過ぎない。
モノ、ソリューション、サービスなどを売ろうとすると、広告宣伝し営業マンが走り回らなければならないが、費用の割にその効果が急速に低下しはじめている。ではどうすればいいのかというと、「売り込む」というアウトバウンド的考え方から、「見つけてもらう」というインバウンド的考え方に変えなければならない。
インターネット時代は、顧客の情報収集力が飛躍的に向上しているから、「見つけてもらう」にふさわしいコンテンツを充実しなければならない。一消費者として旅行や食事をするシーンを想定すると十分にうなずける。
ところが、BtoBの商品を扱う企業では、この考え方がまだまだ普及していない。相変わらず、ホームページは充実していないし、ビジネスブログやソーシャルネットを使いこなしていない企業が多い。売り上げを増やすのは、「売り込む」営業を強化するしかないと思い込んでいる。
「見つけてもらう」という考え方は、最近脚光を浴びているコンテンツマーケッティングなのだが、全く目新しいかというとそうではない。
大阪の特殊ばねの専門企業は、10年ぐらい前からホームページに、過去の納入事例や製品の特長、社員執筆のばねの話などの情報を充実させて、受注に結びつけている。「ばねのことなら任せてください」というコンセプトを明確に打ち出している。営業効率も良くなり、かつては30人ぐらいのベテラン営業マンが500社程度の顧客をカバーしていたが、今は12人(うち半数は女性)が約1000社を受け持っているという。
米国は広大で営業マンが回りきれないから、コンテンツマーケッティングの考え方が徹底している。コカ・コーラ社はウェブサイトを充実させ、2013年に1200本の記事を公開し、1300万人の訪問客を獲得している。
ある家庭用プールの設計・施工会社は、一般の見込み客に対する営業成約率は10%程度だが、自社のブログを30ページ読んだ顧客に対しては80%に達したという。
なぜ、日本でコンテンツマーケッティングが普及しないのかというと、目の前の利益を追いかけ過ぎるからだ。「どうしてよいかわからないから教えてほしい」「はい、こういう情報がありますよ」というようなやり取りが大事で、利他の先に利益がある。

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