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第11回『わたしはマララ』

私はマララ

私はマララ

~教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女
マララ・ユスフザイ、クリスティーナ・ラム 著/学研パブリッシング 刊/1,600円(税別)

ノーベル賞最年少受賞のパキスタン少女を
銃撃した者たちの愚かさを浮かび上がらせる

12月10日に授賞式が行われた2014年ノーベル平和賞は、パキスタン出身の17歳の少女、マララ・ユスフザイさんらに授与された。本書は受賞前の昨年12月に出版されたものだが、マララさんの声が世界に届くきっかけにもなったタリバンによる銃撃事件と、その前後の経緯がこと細かに語られており、史上最年少のノーベル賞受賞の理由がよく理解できる一冊となっている。
イスラム原理主義勢力に抵抗し、女性や子どもの教育を受ける権利を訴えるマララさんだが、本書を読むと彼女自身は敬虔なイスラム教徒であることがわかる。むしろ原理主義勢力よりもずっとイスラム教の本質を捉えているといってもいいだろう。「コーラン(イスラム教の聖典)には、女は一日じゅう家で働けなんて書かれていない」「預言者ムハンマドの最初の妻は起業家だ」とマララさんは指摘する。そして「女の子に勉強を教えるのは女性教師」であるべきとするタリバンに「女の子は学校に行ってはいけないなら、どうやって教師になれというのだ」と矛盾を突く。彼女の論理的な言葉が、ただ権力を振り回しているだけのタリバンの愚かさを浮かび上がらせる。
どんなに非合理でラディカルな主張をもつ宗教であっても、その存在は真っ向から否定されるものではないし、信仰の自由は保障されるべきだ。ただし、その布教や権力の行使に暴力的手段を用いるものは、とうてい容認されうるものではない。それは人類社会の大前提なのだ。暴力や圧政は人類を苦しめ、その存続さえも危うくする。世界中の人々が、この大前提を再認識する意味でも、今回のノーベル平和賞受賞は大いに意義あるものといえるだろう。

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