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情報化月間2014で経産大臣表彰を受けたJCSSAの大塚会長に聞く
  「中堅・中小企業のこれからのIT化の見通し」

一般社団法人日本コンピュータシステム販売協会 会長 大塚裕司氏 

一般社団法人日本コンピュータシステム販売協会 会長 大塚裕司氏

一般社団法人日本コンピュータシステム販売協会
(JCSSA)会長    大塚 裕司氏(大塚商会代表取締役社長) 

 オフィス用品を翌日にすぐ届けてくれる「たのめーる」でお馴染み、大塚商会の大塚社長はJCSSAの会長を8年務めておられる。世界的に見ても、コンピュータからオフィス用品全般まで広く扱っている業態は珍しい。創業者の2代目としてIT経営を自ら実践し、企業の守成と持続的な成長路線に経営改革を果たした大塚会長に今後の中堅・中小企業のIT化の見通しを聞いた。

–最近の中堅・中小企業のIT化の実態と課題を教えて下さい
JCSSAのIT実態調査と弊社の顧客状況を見ると、中小企業のITの実態がよくわかります。弊社には95万社が登録口座にあり、うち25万社がアクティブな顧客です。その80%が年商10億円以下の中小・小規模企業です。
そのIT化の実態はミニマムプラスアルファ程度で、海外と比較するとIT化のレベルは低い方です。弊社にはパッケージソフトで動かす「SMILE」という基幹系システムがあります。大規模から小規模の企業に適応できる、顧客管理や販売支援出来るシステムですが、かなり以前より提供していても、いまだ3%しか普及していません。
となると、同業他社でも同じ様だと推測ができ、大半が複合プリンターを持ち、PCメールをこなすものの、会計システムは税理士任せの状態です。攻めのIT投資、一歩手前の状況です。
しかし、これからマイナンバーに移行すると、社内のセキュリティが漏れると罰則があり、中小といえどもシステム化の要請が強まります。また、タブレット端末は社外でもデータを見たい時には便利で生産性も上がるので、導入が活発化しそうです。
2015年7月は、マイクロソフトのPCサーバーのサポートが切れるため、ネットワークに繋がっている企業のサーバー移行は必須となり、WindowsXP以上に切り替えビジネスが盛んになるでしょう。
弊社は「お客様の仕事を止めない」がポリシーです。バーチャルとともに、ラスト・ワン・マイルのリアルなサポートを行っています。データ移行や共有化などは我々の仕事です。それでお客様の生産性を上げて行くことは義務だと思っています。

–社内のIT化に大投資をして、経営改革を実現されたそうですが?
私は最初銀行マンをして、大塚商会に入りましたが創業者ともめ、一度辞めています。バブルが弾け、会社に戻りましたら、2000億円の売り上げで利益が5億円しかでないような会社になっていました。
すぐに経営改革を手掛けました。弊社はコピー機からスタートし、お客様の仕事を止めないため、「コピー用紙1枚でも届ける」ことと、自社メンテンナンスがコンセプトでした。その創業理念は、今でも変えていません。
その後コンピュータ化が始まり、オフィスで扱う商品は全て扱う、世界でも珍しい独立系の会社でした。しかし、2000名が泥臭い営業をしていては効率が悪い。そこで、営業の集中管理とお客様の顔が見えるIT武装を手掛けました。大戦略という基幹系のシステムを作り導入、これが今回、経済産業大臣表彰を受けました。
1998年に稼働し、お客様ごとの 明細管理が月次でわかり、売掛金の計上から与信管理、自動督促、自動入金などが社員全員で見えるような仕組みです。これにより、見込み客の情報をつかんで営業をかけるため、営業打率が4%から16%と4倍になり、ワン・トゥ・ワン・マーケティングが出来きつつあります。
2000名の社員を増やさず、8000名になったような効果です。その後、SPR(セールス・プロセス・リエンジニアリング)やサポートSPRを加え、従業員数はそのまま、売上高は6000億円に、経常利益は98年対比で13倍となりました。
また、企業様の生のデータがつかめるので、景気の変動や流れをつかんで経営がやり易くなってきています。 実は大企業は景気の変動に非常に敏感で、すぐに予算を締めますが、中小企業は安定して購入するため、予算は安定しているのです。

–環境問題の取り組みに熱心と聞きますが?
今は環境問題の取り組みに力を入れていて、ブラジルのマカパでCO2削減のため、150h、東京ドーム32個分の植林事業を行っています。2017年度までに500ha、中央区の約半分の植林へ拡大させていきます。また会社では2008年に社内オールLED化を図り、5万個のLED電球をお客様に無料で配布しました。
東大が開発した、電力の見える化のための国際標準になるプロトコルを採用したコンセントの普及にも協力しています。

–日本の中堅・中小企業のIT化の見通しは?
これからの日本のIT利活用は、生まれた時からPCや携帯があった世代が会社の中核になってくるのであまり心配はしていない。人が少なくなる分、より効率を求めてITを使い、生産性を上げて行く方向に必ず向かうはずです。
となると、顧客に一番、近くにいる我々の出番がこれからますます増えてきて、生産性が上がっていけば、GDPにも貢献できるし、会社が長期的に安定して成長していけると見ています。

<おおつか ゆうじ>
1976年横浜銀行入行、その後リコーを経て81年大塚商会入社。平成4年取締役、常務取締役、専務取締役、副社長を経て、2001年取締役社長(代表取締役社長)。06年代表取締役社長に就任。60歳。

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