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東北のすごい生産者に会いに行く

東北のすごい生産者に会いに行く

第18回
『東北のすごい生産者に会いに行く』
奥田政行、三好かやの 著/柴田書店 刊/1,800円(税別)

地域のコアにあるものを生かしながら
新しいものを加え、復興への道を拓く

東日本大震災で大きなダメージを受けた東北の農業や漁業はどこまで復活しているのか。本書はそんな疑問のもと、山形県鶴岡市でイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」を営む奥田政行シェフと、仙台出身のライターが東北で前向きな努力を続ける11人の生産者を現地取材した記録だ。
奥田シェフは、現地で生産者に会って話を聞くだけにとどまらない。その生産物を食材に創作料理をつくる。料理人ならではのコミュニケーションで「農」と「食」の本質をえぐり出すことに成功している。
11人を紹介する中でもハイライトといえるのが「福島の未来を創る野菜たち」と題するパート。郡山市の“カリスマ農家”と呼ばれる鈴木光一さんらによる「郡山ブランド野菜」づくりを紹介しながら、奥田シェフによる、福島の食を応援するレストラン「福ケッチァーノ」開店までの経緯を追っている。
「郡山ブランド野菜」は、昔からつくられてきた、いわゆる伝統野菜ではない。当地の土壌や気候を生かしつつ、地元の人々の好みを反映させて新規につくられたオリジナル野菜だ。震災前の2003年から年に一品種のペースで開発されてきている。
その“新しい”野菜は、さらに奥田シェフによる斬新な料理に生まれ変わる。地域の伝統、すなわちコアにあるものに、その良さを失わないまま“新しさ”を加えていく。旧いものを頑なに守るのでも、すべてリセットしてまったく新しいものを創造するのでもない。このプロセスは、東北の復興のみならず、あらゆる改革にもヒントを与えてくれるものだろう。
(情報工場・編集部)

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