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「日本経済はまだ立ち泳ぎ状態」

FT紙「構造改革こそ必要な薬」

-日本を見る世界の眼  -5月-

この時期の海外メディアは、先月に引き続きアベノミクスの行方とアベノミクスの産物ともいえる円安が日本企業の業績に与える影響に関心が集まり、内外の環境変化に揺さぶられる日本経済の現状が浮き彫りとなった。
5月12日付けフィナンシャルタイムズは、日本経済は、高齢化、デフレ、労働市場改革及び財政改革等多くの課題を抱えているにもかかわらず、内閣府の今後数年間の名目成長率を3~4%を前提に財政計画を立てていることに対し、「楽観的すぎる」ものであり、日本は1990年初頭のバブル崩壊以来、「沈まない立ち泳ぎ状態を続けている」との見方を示した。
このような中で、金融、財政、構造改革プログラムであるアベノミクスこそが日本経済休眠から目覚めさせるのに「必要な薬」であると主張している。しかしながら、安倍首相は慢性的な財政赤字を克服する歳出削減に対する手をほとんど打っておらず、消費税増税により消費者の信頼をくじき、原油安も相まって消費者物価指数の低下を招き、インフレ論者の黒田東彦日銀総裁との間に大きな溝をつくったとしている。
アベノミクスは失敗すればリスクにすぎなくなり、成功のためには今一度、安倍氏、黒田氏が手を携え難局に対峙することを求めた。
続く5月27日付けの同紙は、海外展開する日本の大企業は過去最高益の年度を終え、強いドルと新興市場の成長の減速の影響を感じ始めているとの見方を示した。中でも自動車メーカー各社は、調達費用の多くがドル建てとなっている影響で2016年3月期の営業利益が合計で1700億円減少すると警戒し始めており、日本企業はこのような事態に備え、資本の有効活用を通じた企業の成長を模索すべきと主張している。
5月30日付け英エコノミスト誌は、中国が主導して設立されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)への懐疑的な立場を変えていない日本について、アジアの莫大なインフラニーズにADB、世銀及びIMFだけで対処することは不可能であり、新たな影響力が必要であるとし、日本への期待を窺わせた。
また、日本は歴史的にアジア地域のインフラ開発に最大の貢献を行ってきた国として、AIIBを歓迎すべきという一部自民党議員の見解を引用し、仮に日本政府がAIIBへの不参加を決断し、TPPでも合意に至ることができない場合、日本のアジア地域における経済面での影響力はさらに衰えることになるとの懸念を示し、暗に日本のAIIBへの参加を促している。

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