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目の見えない人は世界をどう見ているのか

目の見えない人は世界をどう見ているのか

第23回
『目の見えない人は世界をどう見ているのか』
伊藤亜紗 著/光文社 刊/760円(税別)

「目が見える」という前提を変えることで
これまでとは違う“視界”が広がる

斬新なアイデアを求めたり、困難な問題を解決しようとするときには、「前提を疑ってみる」ことが一つの有効な手段となる。そこで、健常者であれば、「五感が正常に機能している」という身体上の大前提を変えてみるのはどうだろう?
五感の中で、もっとも重要な役割を果たしているのは視覚だ。目から入ってくる情報は、人間が受け取る情報の8割から9割を占めるという。では、それだけ重要な機能を奪われた視覚障害者は、どのように情報を処理しているのか。本書は、数人の視覚障害者への取材を通して、その疑問を明らかにする。
健常者であっても、私たちは情報を完全なかたちで知覚しているわけではない。ある物体を見るときには、その瞬間は一つの「視点」から見ているだけ。裏側は見ることができない。たいていの人は「富士山」を「上が欠けた三角形」と、二次元でイメージするのではないだろうか。
完全ではない情報に、私たちは「意味」を加えて理解する。この点では、健常者も障害者も何ら変わらない。ただ、目の見えない人は、受け取る情報量が圧倒的に少ない。それは余分な情報が入ってこないということでもある。だから、却ってものごとの本質が見えやすい。一つの視点に縛られず、俯瞰的にものごとをとらえることができる。
目の見える私たちは、こうした目の見えない人たちの「ものの見方」を試してみるとよいのではないか。入ってくる情報をまず断片化して取捨選択し、少量に絞り込む。そして余白を自分なりの「意味」で埋めていく。そうすればこれまでにない“視界”が開けるはずだ。
(情報工場編集部)

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