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30ヶ月で30%の円安の罪

安倍が名声得るのは至難の技

-日本を見る世界の眼 -6月-

この時期の海外メディアは、先月に引き続きアベノミクスの行方とアベノミクスの産物ともいえる円安に注目が集まり、円安が世界経済に与える影響が浮き彫りとなった。
6月6日付けの英エコノミストは、安倍首相が進める経済改革、アベノミクスの効果について、「まずまずの経済成長とインフレ率の上昇が見られた時期も何度かあったが、いずれも長続きしていない」とネガティブな評価を与えるとともに、日銀の大規模な量的緩和(QE)プログラム等により誘導された円安を問題視している。
円の価値は2012年末以降30カ月で30%以上下落し、日本の輸出業者の競争力が高まる結果、ライバルの輸出国が不利になるという難問をもたらしたとの見方を示した。
また、今回の円安は、中国と香港を除く主要新興国市場は、過去3カ月の輸出が2014年に比べ軒並み減少し、世界全体の輸出は5月の減少により過去2年近くで初めての減少している中で「タイミングの悪い」ものであるとした。
同時に最近の世界貿易の停滞については、中国経済の変化も一因となっている可能性があるとの見方を示し、背景には、これまで中国は他のアジア諸国から部品を輸入し、完成品を世界に輸出する構造であったが、近年では、自国で部品を製造するケースが多くなり、その結果、アジア域内の輸出の減少をもたらしたと分析している。
同日付けの同誌は、6月1日に日本政府の新たな「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の適用が始まったことについて、「日本政府が、企業の仕事のやり方について詳細なルールを制定したのは初めてのこと」と一定の評価を与え、企業のやり方を変えさせようとする安倍氏の試みは、日本経済に活力を取り戻すための壮大な計画「アベノミクス」を構成する1つの要素である。
企業改革は日銀の金融緩和とともに、これまでのところアベノミクスの最も具体化された要素になっている。安倍政権は、コーポレートガバナンス・コードを骨抜きにしようと最善を尽くした日本最大の企業ロビー団体、経団連と対決姿勢を見せているがこれまで以上の取り組みが求められるとした。
6月10日付けのフィナンシャルタイムズは、安倍氏は、米国経済を不況から引っ張り上げたのは1930年代のフランクリン・D・ルーズベルト大統領、1980年代のインフレスパイラルを制御した英国のマーガレット・サッチャー首相と米国のロナルド・レーガン大統領などえり抜きの政治家のリストに名を連ねるチャンスを手にしているとしている。
しかしながら、それはアベノミクスの成功にかかっており、金融の世界の外では、アベノミクスはたくさんの障害に直面しており、「第3の矢」である構造改革は、安倍氏の時間と政治的資本の多くを奪いかねず、第2の矢の財政再建は、消費増税に対する予想以上に悪い経済の反応によって針路から逸れてしまっており、安倍氏が名声を得ることは至難の技になりつつあるとの見方を示した。

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