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里山を創生する「デザイン的思考」

里山を創生する「デザイン的思考」

第27回
『里山を創生する「デザイン的思考」』
岩佐 十良 著/KADOKAWAメディアファクトリー 刊/1,300円(税別)

多重人格を再び統合する思考プロセスで
共感の得られるアイデアを生み出す

異種のもの同士を組み合わせることは、アイデア発想の常道の一つだ。ただし、ただ単に思いついたもの二つをくっつけただけではダメだ。その異種のもの同士に共通点をみつけ、それが本質を突くもので、かつ他者の共感を得られるものでなければならない。
本書の主役は、著者が新潟県の大沢山温泉に開設し、またたく間に人気宿となった体験型宿泊施設「里山十帖」である。雑誌『自遊人』を発行していた著者は、「雑誌」と「宿泊施設」という“異種”に注目した。雑誌の特集のように、価値あるものを「体験」し「発見」できる場、というのが「里山十帖」のコンセプトなのだ。
このコンセプトは、著者独自の「デザイン的思考」によって生まれた。データを見て理屈をこねるよりも先に、「多重人格」になって関連するものを体験する。この「多重人格」はやがて統合され、新しい人格ができあがる。この人格が判断主体となり、企画やデザインを磨き上げていく。
「デザイン的思考」は、基本的には一人の頭の中で起きるプロセスとみていいだろう。どうせ多重人格になるのなら、何人かの他者にアイデアを出させる方がいいと思うかもしれない。しかしそれではなかなかうまくいかない。多数の視点や意見をまとめる過程で「妥協」が入りこみ、つまらないアイデアになってしまいがちだからだ。
その点、一人の頭の中では、ある人格を切り捨てようが何をしようが自由だ。巧みに客観的視点を残しながら、主観と融合する。そのバランス感覚がアイデア発想のもっとも重要なテクニックに違いない。

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