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ホンダジェット

ホンダジェット

第34回
『ホンダジェット』
開発リーダーが語る30年の全軌跡

前間孝則 著/新潮社 刊/1,600円(税別)

モノづくりの伝統と革新的アイデアが
詰め込まれた「航空機業界のiPhone」

今年11月11日、国産初のジェット旅客機MRJの初飛行に日本中が沸きかえった。それに先行して開発に成功し話題になっていた国産メーカーによる小型ビジネスジェット機が「ホンダジェット」だ。同機は本田技研工業(ホンダ)とその子会社米国法人ホンダエアクラフトが開発。航空機の開発はホンダの創業者・本田宗一郎氏の夢でもあった。自動車メーカーによる航空機事業への新規参入は世界でもこの数十年、例がなかったという。
本書は、同機の開発リーダーを務めてきたホンダエアクラフトCEOの藤野道格氏の挑戦を主軸とするビジネスノンフィクションだ。ホンダジェットは、外観からしてこれまでの小型ジェット機とは一線を画すユニークなものになっている。最大の特徴は、自社製のエンジンを主翼の「上」に取り付けたことだ。それによって、他機よりも小型化しながらもキャビンを広くし、しかも騒音や振動を小さくして高い快適性を実現している。
ホンダジェットは「航空機業界のiPhone」なのではないか。本書には藤野氏のスティーブ・ジョブズばりの細部へのこだわり、確たる技術に裏打ちされた革新的なビジョンなどが描き出される。何よりホンダジェットは既存のシェアを奪うのではなく、新しい市場を広げることを狙っているのだ。
ホンダジェットは自動車産業で日本が培ってきたモノづくりの伝統とイノベーティブなアイデアが幸福な出会いをした稀有な例なのかもしれない。だが同機の成功は日本経済が再浮上するための一つのモデルを示しているともいえる。
(情報工場編集部)

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