政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


強いパートナーと組み強いAI作れ 

(前号よりつづき) 

辻井潤一氏

辻井潤一氏

我々は今、グーグル、アマゾンタイプのAIはそろそろ終わりだしてきているようだ。インターネットのデータをためてAIで処理するところから、今、彼らは自動運転やヘルスケアなどの現実の分野に乗り出してきている。
グーグルがアルファベットという持ち株会社を持ったのも業態を多様化していくためだ。インターネット以外のところからデータを取り、現実社会の中にAIを採り入れる時代になった。現実世界のデータを取りながら、AIの新しい技術が必要になり、新たな需要を生み出すサイクルに入ったと我々は見ている。
そこで何が起きるのか?強いパートナーとのAI連携が欠かせない。自動運転ならば、自動車メーカーと組めば、強いAI産業が生まれ、新しいAI技術が出てくるような時代になる。IoTやCPSというのもAIとつながれば、きっと新しい、効果的な社会が生み出されてくるはずだ。その意味で行くと、日本の産業はAIにとって良いポジションにいると考えている。
そこで必要な3つの柱がある。1つはAIフォー・ヒューマンライフ。快適な人間生活を送るためのAIがある。日本が得意の分野であり、例えばコンビニは地域特性やお客に親切なサービスを提供してくれている。これからAIはある特定の環境の、特定な人に合ったサービスを提供してくれるようになる。
ヘルスケアでは、病気をした人の病歴や職業などから最適な治療法を見つけるAIサービスが出てくるだろう。介護も旅行も同じ、一人ひとりに木目の細かいAIサービスが出て、快適な生活を送れるようになる。それら都市がIoTと連動し、スマートシティになっていくのだろう。そこには必ず、日本風AIが出てくるはずだ。
2つめは、AIフォー・マニュファクチャリング。生産やエンジニアのためのAI。例えば日本の自動車会社はカンバン方式を使い、生産ラインから物流に至るまでストックを少なく、系列の子会社を機能させるシステムを作り上げた。ここにAIを入れるわけだ。独の提唱するインダストリアル4.0ではなく、日本風のAIを入れて行き、より強くしていくことが必要だ。海外の受け売りではなく、日本のAIマニュファクチャリングが必要だ。
例えば、高い技術力のある中小の技術をAIに覚えこませ、ロボットに移していき、より生産を高度化させていけるのは日本だけだ。
3つめはAIフォー・サイエンス。日本が先進国で伍していけるのはあらゆる科学技術分野でトップレベルの人たちがいるためだ。生命工学や医療、物性、エコロジーなどあらゆる分野でトップレベルの知識、論文、データが蓄えられてきている。そして、これからは一人の研究者からビッグデータを使ったデータオリエンテッド・サイエンスに大きく変貌しようとしてきている。ここへの投資が遅れると、新しい科学技術に取り残される恐れがある。
日本には良い研究者やグループ、大学がたくさんある良い土壌がある。これらの科学技術の研究者とAIをつなげていくのが我々AIセンターの役割である。AIで科学技術を強くし、産業を強くしていく。そこにAIニーズを顕在化させ、さらにAIを発展させていくべきであろう。
AIの技術者を増やしていくには、データサイエンスが基本だが、元々の車や医療などの優秀なソフトウェア・エンジニアが我々のAIセンターに来て、プロジェクトを組み、現場でトレーニングを積めば、半分AI技術が身についてくる。そうして基本的AIを習得して行く方が早いだろう。
これからAIは第1次産業革命がもたらした影響と同じくらいのインパクトで社会構造を大きく変えていく可能性が高い。一方、AIが人の仕事を奪ったり、反乱を起こす恐れを抱いて、心配する人がいるが、今AIが出来ることは人の出来ることの1部を、人間より賢くできるようにプログラミングしてできただけ。全体で人間を超えるところまでにはまだまだ至っていない。
医療などの分野では医者をサポートし、より良い診断や治療の手助けとなるAIが、あらゆる分野で出てきて、より快適な社会生活を送るようになると考えていくのが健全だ。
(文責編集部)

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