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変化見せ始めた日本企業

この時期の海外論調は、11月に発表された7-9月期実質国内総生産(GDP)速報値は、日本が定義上リセッション(景気後退)に逆戻りしたことを受け、アベノミクスは失敗に終わったとする見方が支配的になった一方で、アベノミクスによって変化が見られたものに注目が集まり、中でも日本企業の経営に対する影響を論じる傾向が目立つ結果となった。
12月16日付けフィナンシャルタイムズは、2015年において、先進国の株式市場の中で堅調だったのはほとんど日本のみであり、ドル建てで約7%上昇したことを捉え、その一因は円安による為替効果よりも企業収益が向上したためとの分析している。そして、この株価上昇は、いわゆる「日本株式会社」が株主利益の重視を含む新しい枠組みに移り始めたという投資家の確信による部分が大きいとの見方を示した。
具体的には、日本生命保険による三井生命保険の買収に見られるように日本企業は自社株を買い戻し、配当を引き上げ、市場シェアよりも利益を重視し、効率を高めるために合併し、総じて欧米流のコーポレートガバナンス(企業統治)に留意するようになっていると一定の評価を示しながらも、関心を示していた外国の保険会社は内々に断られたという動きを捉え、株主価値より長期的関係を重視しており日本のこれまでの企業慣行が今でも残っている証左であると論じている。
12月26日付けウォールストリートジャーナルも同様に、わずかではあるが日本企業においてコーポレートガバナンスで変化が起きつつあるとの見方を示している。これまで日本において経済改革が進まない主因の一つは日本企業の体質であり、日本企業のコンセンサス重視の姿勢は結果的にライバルの韓国、台湾、そして中国に比べて市場の変化への対応が遅れることになったと批判してきた。
しかし本年夏に「コーポレートガバナンス・コード」が導入されたことにより事情は変わっているとしている。また、昨年導入された「スチュワードシップ・コード」であり、株主に議決権行使と積極的な関与を奨励することで、株主利益を重視する姿勢が強まっており、中でもれまで投資先企業の経営に口を挟むことがなかった年金基金や生保の行動が変わり始めているとの見方を示した。
しかしながら、日本の企業改革による「恩恵はまだ経済に行き渡っていない」とし、企業の利益が増え、投資家の懐が豊かになっている可能性はあるが、労働者には富が回っておらず、労働者が恩恵にあずかって初めて、アベノミクスは成功だと言えるとし、日本の経済改革は道半ばであり、一層の取り組み強化を求めている。

 

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