政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


情報化社会と増加する特殊詐欺

木内里美(株式会社オラン代表取締役)

高齢者を狙う特殊詐欺
悪意を持った人たちが存在する限り、いつの世にも詐欺行為は無くならないだろう。マルチ商法を代表とする○○商法と呼ばれる詐欺まがいの行為も横行しており、会社にも時々「取材商法」の電話が掛かってくる。
どこの会社もパターンは同じで、少し盛りを過ぎたタレントがインタビュー取材に来て記事を有料で掲載する商法だ。事前に説明もするから詐欺には当たらないが、ミーハー心をうまく利用した詐欺まがいの商法だと思う。
特殊詐欺と呼ばれる詐欺行為がある。警察では8分類に類型化しているようだが、代表格は振り込め詐欺に分類される「オレオレ詐欺」、「架空請求詐欺」、「融資補償金詐欺」、「還付金等詐欺」である。特殊詐欺被害も景気と連動するところがあるようで、2009年のリーマンショック時の被害額約100億円を底に、それ以降は鰻登りの状況であり、今や600億円に達するばかりの勢いである。
特殊詐欺の被害実態は、60歳以上が8割を占め性別では女性が7割以上と言われている。ターゲットは騙しやすい高齢者なのだろう。高齢者を狙う代表格の特殊詐欺はオレオレ詐欺、還付金搾取、金融商品等取引名目詐欺だそうだ。
手口も高度化していて、800万戸を超える空き家を利用して現金の受け渡しや荷物を装った現金の送付先にする「空き家詐欺」が流行りだし、コンビニに設置してあるマルチメディア端末を使って銀行を介さない振り込みをさせる手口も増えている。

詐欺も情報通信環境をフル活用
詐欺手法の推移を見ていると、情報化社会の進展と関連が深いことがわかる。会社情報などネットで開示される情報は格段に増えているし、個人情報も個人がSNSなどから警戒なく漏らしているから漏れるのも当然の状態だ。
いきなり携帯メールに送られてくる架空請求詐欺などネット時代のダークな実態だし、マルチメディア端末しかり、なんらかの形で情報通信環境を活用している。スマートフォンが普及し、この傾向はますます進むだろう。それにしても悪者のICTリテラシーは高いものだ。次々と新手を思いつくことには感心さえしてしまう。
そもそも詐欺に遭うのはどうしてなのだろうと考察してみた。一つは批判的思考が苦手で無警戒の日本人気質にあると思う。他国と詐欺をテーマに比較文化論をやってみる価値はある。もう一つは高利な投資話などに安易に乗ってしまう欲の心情だろう。年末ジャンボ宝くじ売り場の長蛇の列にもそれを感じる。
何はともあれ、高齢者や認知症患者など弱者を詐欺被害から守ることをご近所付き合いからもやらねばならない。普段から一声掛け合うだけで違ってくるはずだ。

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