政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


2種類の情報サービス業

有賀貞一(AITコンサルティング株式会社 代表取締役)

この5年ほど、60代フリーターとして、スタートアップベンチャーを中心に、多数の企業の経営顧問を業としてやってきた。関与した先は10数社になる。業種的には、クラウドコンピューティング、情報セキュリティサービス、オムニチャネル・ソフト、CRMソフト、Eコマース、メディア・コンテンツ、クラウドソーシング、といったところ。ゲーム会社はないが、最近のIT利活用型の新しいビジネスはほぼカバーしている。これらの企業との関連の中で、スタートアップだけではなく、エスタブリッシュした同種大手企業とのコンタクトも多い。
このような企業群をスタートアップだけに限らないが、SUVと呼ぼう。伝統的な情報サービス業(「受託系マンパワー型」と言ってもよい多重下請け構造でのさや抜きビジネス)の世界と比べると、双方が同じIT関連産業だとはとても思えない。まずSUV自身が、そもそも自らをIT・情報サービス業とは思っていないのである。Eコマース業であり、メディア・コンテンツ業なのだ。オムニチャネル・ソフトを開発しているところでさえ、オムニチャネルを円滑化する仕組みを売っているのであって、ソフトウェア開発業という意識は薄い。
つまり自らがIT利活用による新しいビジネスモデルを作り、仕組みを構築して、付加価値のある事業を行う。開発に対する考え方も大幅に違う。開発チーム体制、言語、利用ツール、開発管理方法、等々も、従来型情報サービス業とは大幅に違うのだ。開発ツールにGitHub、プロジェクト管理支援にRedmineといった、もはやSUVの人々の間では標準となったツールを使っての構築が進む。もちろん外注を活用している企業も多いが、自社メンバーを雇用して、自社開発しようとしている企業が多い。そして彼らは伝統的「情報サービス産業協会」といったところに参加する気もない。
これからの経済活動を活性化していくには、SUV的な企業の成長が必須だ。欧米発で盛んにもてはやされている「Airbnb」、「Uber」、FinTech系各社といった企業は、上記のような新しいIT利活用系から生まれたものだ。日本においても、このような新しい企業群が続々生まれることを期待したい。
伝統的情報サービス業は、SUVの成長にもっと関心を持ち、自ら事業企画をし、自ら仕組みを構築していくことで、新しい産業形態にシフトすべきだ。それによって、収益性を高め、3K、5Kなどと暗く捉えられがちな世間評価を改善していく必要がある。

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