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救急医 脅威の判断力

救急医 脅威の判断力

第43回
『救急医 驚異の判断力』
角 由佳 著/PHP研究所 刊/1,400円(税別)

正確な判断と行動力にはワーストケースを
想定した事前の準備が必要不可欠

救急医とは、大病院の救命救急センターなどに勤務し、急病人や事故・災害などの被害者の治療や救命処置にあたることを専門とする医師だ。言うまでもなく、彼らにはスピーディで正確な判断と行動力、精神的なタフネスが要求される。本書では、福知山線の脱線事故や、毒入り餃子事件、東日本大震災などに関わった現役の救急医が、これまでの経験や、そこから学んだこと、現場で常にベストなパフォーマンスをする秘訣などを詳しく語っている。
著者によれば、救急の現場において、テレビの医療ドラマによくあるような怒号が飛び交い、スタッフが右往左往するようなケースは滅多にないという。なぜなら、著者をはじめとする救急医は、患者が救命救急センターに到着するまでの5~10分の間にワーストケースシナリオを設定して、それに対応できる気持ちと備品と人の準備をしておくからだ。事前に十分に「仕込んで」おくことで、患者を受け入れてからの行動を格段にスムーズにすることができる。想定外の事態に焦ったり、叫んだりすることを最低限に抑えることができる。できる限り「いつも通りのパフォーマンス」を心がけることが、ベスト・パフォーマンスを生み出しているのだ。
救急医の仕事は迅速さが求められる。「判断」やチームでの動き方は、経験やシミュレーションで蓄積しておく。現場では、ほとんど何も「判断」しない。ただ蓄積されたものを何も考えずに引き出す。このようにパターン化されたシステムが確立されていれば、イレギュラーな事態にも、システムの延長線上で対応できるのだろう。

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