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2020/11/13

新型コロナウイルスなどウイルスや細菌を99%除菌・抑制できる紫外線ウイルス抑制・除菌装置「Care222🄬」U3ユニット

光学と分子生物学の融合で生まれた画期的なイノベーション製品

コロナ禍、ワクチン開発がまだ出来上がっていない中に、それらウイルスや細菌を99%除菌・抑制できる、人体にも安心・安全な画期的な紫外線光源が光応用製品・産業機械のトップメーカー、ウシオ電機より9月から販売された。10月には加賀市の医療センターに30台が導入された、遠紫外線222nmエキシマを使った紫外線光源「Care222 U3ユニット」はどのように開発されたのか、同社の大橋氏に話を聞いた。

ウシオ電機株式会社事業統括本部インキュベーションセンターCare222プロジェクトリーダー 大橋広行氏

この画期的なイノベーション製品はどのように生まれたのか?と尋ねると、「私は8年前に当社に中途入社した分子生物学の研究者です。Care222の開発をスタートした2015年当初は、薬剤耐性菌等による院内感染を防ぐ製品として研究が開始されました」。
病院内には薬剤耐性菌が広がっていて、日本では年間8千人が感染により死亡している。米国は一桁上回る死者が出ており2050年にはガンによる死亡者を上回ると言われている。
「当社は、1993年に世界で初めてエキシマランプを上市し、また医療用向けに紫外線領域光源ランプも開発・販売していました。その過程でコロンビア大学のD.ブレナー博士と出会いました」。
ブレナー博士と共同で生体に安全なUVC領域の紫外線光源の開発を研究。同社がこの研究で生

まれた特許の専用実施権を持って市場に投入した光学と分子生物学の融合から生まれた画期的なイノベーション製品が「Care222」なのである。

「紫外線でも人体に有害な領域をカットする、安心・安全な光学フィルタを備えています。ある特定の波長のみを通し、他の波長はカットするフィルタで詳細は秘密です」と語った。この光学フィルタは材料の組み合わせで出来ているそうだが、他社が追い付くには5~10年かかるそうだ。
同社は今年4月から、新規事業を生み

出すため、シーズを開発するウシオテクノラボ、技術開発を行うR&Dセンター、そしてそれを事業化する大橋氏が所属するインキュベーションセンターを創設した。今回はこの流れで、初めて生まれた商品が「Care222」なのである。
「紫外線では従来から勧告値(TLV)が決められていて、よく使われる殺菌灯(254nm)は1日 (8時間)あたり6㍉ジュール/cm2以上を人に照射しないよう厳しいルールがある。しかし、この222 nmの紫外線UVCの勧告値(TLV)は22㍉ジュール/cm2となっている。実験ではエキシマランプから照射される光の純度を上げ、勧告値(TLV)の数十倍以上照射しても、生体に障害がないことが確認されています」。
このCare222があれば、新型コロナウイルスや薬剤耐性菌などの99%除菌・抑制できるとあって、現在、引き合いが殺到しており、生産(播磨事業所)が追い付かない状況だ。
売上規模は、2022年度で100億円を目指している。同社の事業の10%未満だが、3年間でこの規模に急成長する、同社期待の新型商品なのである。

今後は協業した企業(東芝ライテック)が一般用照明等にCare222のモジュールを組み込んだ商品を来年早々には発売する見込みだ。海外からの訪問者用に空港や駅に設置してもらえれば、日本の安心・安全がより高まるだろうし、海外でも引き合いが急増しそうだ。
「この光学と分子生物学の融合にはまだまだいろいろな可能性を秘めており、ある波長を当てると、睡眠障害がなくなるような光も将来は生み出せそうです」と語ってくれた。この日本発のイノベーション商品で、コロナ禍が安心・安全に過ごせれば、こんな有難いことはない。

 

加賀市医療センター
加賀市医療センターに30台導入されたCare222 U3ユニット
再来受付機周辺に天井に設置されたCare222