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2020/12/10

マイオピニオン ~アフターコロナに役立つ「易経」の知恵~

「企業の第一の責任は存続すること」


新型コロナウイルス感染症という、一大国難に経済対策はどうすべきか「新しい現実」という言葉から思い出した言葉があります。それは『「新しい現実」を扱うには分析とともに知覚が不可欠である。』これは経済学者「ドラッカー」の言葉です。
著書に「経営者の条件」最も読まれたセルフマネジメントの書また「マネジメント」は世界で一番読まれた経営学書であり、「自己啓発の父」「マネジメントの父」と呼ばれ社会の変化を予見してきました。ドラッガーは何度も来日し日本の多くの人に影響を与えてきました。ドラッガーは日本には100年以上続く長寿企業が多いことに興味を覚えた。ドラッカーが生み出した多数の言葉の中に「企業にとって第一の責任は、存続することである」というものがあります。これは日本の長寿企業が多いことと一致します。
またドラッガーは「企業の社会的責任」を唱えています。ドラッガーは「社会的責任」について論じた歴史的人物の中で渋沢栄一の右にでるものを知らないと語っています。
現代のドラッガーと明治・大正時代の渋沢栄一。2人の共通点とはドラッガーは「社会的責任」と「利潤」は基本的対立がないと主張、一方渋沢栄一も著書「論語と算盤」で「経済道合一」を論じています。
論語は社会的責任(社会道徳)、算盤は利潤と置き換えることが出来ます。2人共にこの二つを統合した経営の必要性を説いています。この理論は渋沢栄一が先取りしたもので現代のテーマでもあります。渋沢栄一と言えば2024年上半期に一新される紙幣の一万円札の肖像に採用されました。
渋沢栄一は民間の銀行や企業など500以上の組織の設立に関与し日本資本主義の発達に貢献晩年は社会・教育・文化事業にも尽力されました。論語の愛読者であり「正しい道徳の富でなければその富を永続することができぬ」と提言しています。
孔子は儒教の創始者であり四書五経の筆頭である「易経」を経書としています。「易経」は単なる占いの方法の書だけではなく近年は哲学書として研究されています。理論的根拠を与えた文章であり東洋哲学に深い影響があったとされています。「易経」は抽象的な暗示的な言葉で書かれているため読む人により解釈が異なることもある非常に難解な書です。
現在の日本においても様々な形で「易経」は研究され実施されています。一つの例としては経産省認可東京都所管「協同組合易道事業連盟」という易学団体があります。
この団体は大学教授を学術顧問として向かい入れ「易経」の哲学の研修を受け、東京都中央会主催の中小企業経済ビジネスイベント「組合まつり」に参加するなど多岐にわたる活動を通じて「易経」の「哲学」に則った経済活動を行い「正しい易経の哲学」を広める活動を展開しています。
アフターコロナという経済問題の進路を再設計するために「易経の哲学」の叡智から一計を案ずるのも一つの手立てかと思います。「易経」は自然学、数学であり人が生きていくために必要な智恵だからです。(文/山田大悟)