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2022/04/08

究極の物流効率化目指すロードマップ ~中野剛志物流企画室長に聞く

物流業界は知っている「物流の2024年問題」と、迫る「物流危機」。この課題に切り込んだのが今回発表された「フィジカルインターネット・ロードマップ」である。取りまとめを行った経産省物流企画室 中野剛志室長に中身のポイントを聞いた。

 


 

――国土交通省と一緒にこの報告をまとめた理由は?

 

ヤマト運輸や佐川急便などの物流業者は国交省が所管している。その物流業者は、着荷主である小売・卸業者からの要求を現状拒めていない。それが今の多頻度、小ロット配送や40%という低い積載効率と物流コスト増を招いている。また、検品も非効率な状態で物流業者から受け渡され、改善を試みてはいるものの、着荷主側にインセンティブが働くものではないので、効果が薄い状態が続いている。
一方、小売・卸業者等の所管は経産省。経産省にとってもロジスティクスは今後とても重要な課題であり、この効率化は産業競争力にも直結してくるため、両省共同でフィジカルインターネット・ロードマップを策定した。

 

――内容の出来具合は?

 

新型コロナやロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱により、ロジスティクスの重要性が再認識されている。今後はいかに物流を効率化するかが大きなカギとなる。
先日、フィジカルインターネット(インターネット通信の考え方を物流に適用した物流の仕組み。以下、PI)の提唱者の1人であるパリ国立高等鉱業学校のバロー教授が主催したセミナーにおいて、日本のロードマップが発表されたところ、政府が主導し、学識者と様々な産業団体がまとめた世界初の政策として高く評価されたと聞いている。

 

――DXレポートで出した「2025年の崖」のようなキャッチフレーズはないが

 

物流業者は「物流2024年問題(働き方改革関連法の施行により、トラックドライバーの時間外労働の上限規制が導入され、更なる人手不足が生じる恐れがあるという問題。)」と皆認識しているが、他の業界の関心は低い。
そうした中で、2010年代からじわじわ「物流コストインフレ」が顕在化してきている。そこへEC市場拡大による多品種・小ロット輸送の急増と、トラックドライバー不足が起きた。
物流業界は、年収が低く、過酷な労働環境などからドライバーが集まらず、さらに高齢化が急速に進んでおり、2027年には24万人のドライバー不足となるとの推計もあり、「これまで運べていたものが運べなくなる」懸念が生じている。
そして、ロシアによるウクライナ侵攻なども相まって、燃料価格が高騰し、今後はさらに輸送費が嵩んでいき、「物流危機」は早まる可能性が高い。

 

需給関係図

(中略)

 

 

 ―-今回の成果は?

 

ロードマップに加え、加工食品や日用品等の消費財についてアクションプランを策定した。1年ごとに何をどう実施するかの目標が詳細に書かれている。これがあれば個別最適を防げるし、商慣行の是正や投資のタイミングもわかる。
例えば、2024年までには、物流コストの可視化、明細表示が実施される。これは、物流改革の一里塚となるだろう。

(全文は、経済産業新報・本紙で)