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2022/11/28

LSTCとラピダスが設立 日米連携し、2nm次世代半導体を生産へ ~半導体産業復活戦略がスタート

経産省は、2020年代後半の次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けた取組みを発表した。1つは、次世代半導体研究のための新しい研究開発組織に「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」を年内に設立、次世代半導体の将来の製造基盤の確立に向けた研究開発プロジェクトの採択先をラピダス(Rapidus)株式会社に決定した。

 

理事長には、前東京エレクトロン社長の東哲郎氏とアカデミア代表に理化学研究所理事長が就いた。LSTCでは、次世代半導体(2nm=1ナノ・メートルは10億分の1メートル)の量産実現に向けた技術開発プロジェクトの組成・実施を担う。また、設立予定の米国のNSTC(ナショナル・セミコンダクター・テクノロジー・センター)や海外の研究機関とも連携していく。

 

次世代半導体設計-03

 

LSTCは、5月に開催した第1回日米商務・産業パートナーシップ(JUCIP)閣僚級会合において、半導体協力基本原則を合意に基づき、日米間での共同研究の実施を見据え、次世代半導体研究における国内外の英知を結集した新しい研究開発組織を立ち上げることを7月に決定していた。

今回このプロジェクトの受託先に決定したラピダスは、トヨタ自動車、NEC、NTT、ソニー、キオクシアら8社が70億円を出資して設立した、先端ロジックファウンドリ事業を目指す新会社である。

 

ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業から次世代半導体研究プロジェクトの開発費700億円を使って、日米連携に基づく2nm世代のロジック半導体の集積化技術と短TAT(短時間立ち上げ)製造技術の研究開発を行う。

社長には、ウエスタンデジタルジャパンの小池淳義プレジデントが就き、会長には東哲郎氏が座る。現在、最先端のロジックではFin型構造が使われてきたが、ビヨンド2nmでは限界が来ており、新しいGAA型構造に置き換わる転換期に来ている。Fin型で大幅に遅れた日本にとって、次世代半導体に参入するラストチャンスと見られている。

具体的には、①米IBM社らと連携し、2nm世代ロジック半導体の国内短TATパイロットラインの構築とテストチップ実証、②2nm要素技術獲得、EUV露光機の導入着手、生産パイロットラインの初期設計、などに取り組む。

 

図1次世代半導体設計-02

 

わが国の半導体産業復活の戦略が整い、実行段階に入った。今後は、LSTCとラピダスが両輪となって、次世代半導体の量産基盤確立をめざす。日本の産業競争力の強化に向けた第1歩が踏み出せたことは大きい。

 

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