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2024/12/20

銀行やITコーディネータらが一体で企業の支援担う ~中堅・中小企業に伴走支援アプローチ

DX支援ガイダンスが地域の企業を活性化

 

任期付きのシニアの新人官僚が入省わずか5カ月で、中小企業の生産性を上げるための「DX支援ガイダンス」をまとめ上げ、~デジタルから始める中堅・中小企業等の伴走型支援アプローチ~という政策を展開している。

 

 ふくおかフィナンシャルグループで、長崎・熊本・福岡にて取引先のデジタル化支援コンサルティングサービスの企画推進を担っていた河﨑幸徳氏(写真)。昨年10月に経済産業省に転職して中小企業DX化の旗振り役(経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課 地域情報化人材育成推進室長・デジタル高度化推進室長)に就いた。

 

 中小企業は人もお金も知識もない状態でデジタル化やDX化を独力で推進するのは難しいとみられていた。336万社もあり、どう手を付けていくのかが課題であった。

 

DXの現状

 

 今回のガイダンスでは、経産省は「地域の支援機関を通じて中小企業のDXを進めていく新しいアプローチ」を公表している。支援機関というのは、地元の金融機関やITベンダー、コンサルタント、商工会議所などで、中小企業の伴走役として、支援を継続的に行う役割を担う。
「地域における銀行の信用は絶大で、財務会計をSaaSで銀行に任せられるようになれば、月次決算や資金繰りも安心できる。銀行に足りないITスキルはITコーディネータや地域のITベンダーに補完してもらえば良い。企業の生産性が良くなれば、銀行も潤う。3方良しの好循環が地域に生まれてくる」。

 

 この支援ガイダンスの別冊には、滋賀銀行や長野県ITコーディネータ協議会、堺DX推進ラボ、東京商工会議所など16のDX支援実例が紹介されている。
「我々が長崎でデジタル化支援を始めた時に方針としたのは、モノ売りは行わずコト売りに徹すること、結果伴走が上手くいっていると思う」。

 

 DXの準備をする企業はまず、デジタルガバナンス・コードを理解して、IPAが提供している「DX推進指標」という自己診断ツールで自社の状況を把握、DXに立ち向かう準備ができたら「DX認定」取得を目指す。ロゴマークの使用や人材育成のための助成金など様々なメリットが享受できる。
「私個人の意見ですが、地域金融機関の法人営業担当者はITコーディネータの資格を持つべきです。ITコーディネータのプロセスガイドライン4.0は今回からDSS(デジタル・スキル・スタンダード)に準拠しており、スキル・知識に加え、ケース研修を学べば立派なコンサルになれます」。

 これは銀行員のリスキリングでもあり、将来はデジタルがわかる取引先経営者の参謀や経営者にもなれる。また、今の若者はデジタルネイティブ世代、DXを上手に活用して企業の働き方を変えていける。
「今後のDXを展望すると、同じ業種同士のプラットフォーム化が進展してくるだろう。セキュリティ基盤も同じだ。個々で所有するより、共通基盤をクラウドで効率的に共有することで費用を抑え、本業に特化する環境を提供すべき、その上でDXを使い新たな付加価値を生み出して競争していく社会に変わって行く」。

 

「日本の中堅・中小企業の生産性を底上げするためには、デジタル化・DXをより普及させていくことが必要、そのためには、DX認定制度など経産省が提供する施策をより咀嚼して、‟漫画“化も視野に入れ、わかりやすくしていきたい」。

 

 政策に実働経験者が入り、DX推進に魂が入った感がする。

 

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