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日産自動車、復活への狼煙 ~就任から2年の内田社長に聞く
多くの自動車メーカーが電気自動車への大型投資を打ち出し、カーボンニュートラルに向けた動きが加速している。企業風土の刷新を進め、「復活へ」の狼煙をあげる日産自動車の内田誠取締役、代表執行役社長兼最高経営責任者に復活への道筋や自動車市場の見通しを聞いた。
――事業構造改革計画「 NISSAN NEXT」の発表から1年半。改革への手ごたえは
社長就任から2年が経ちました。過去の経営を振り返ると、自動車業界そのものが変革期に入り、外部環境が変化する中、短期的な収益を追求するやり方に無理が生じていました。
2020年5月に発表した「NISSAN NEXT」は、事業の再生を図り、あわせて事業の成長に結びつける趣旨の下、固定費の適正化、販売の質の向上を目指しています。
改革を進めることで、 2020年秋頃から改善の兆しが見え、コロナ禍や半導体不足など厳しい状況にはありますが、2021年度上半期決算は黒字の見通しを出すことができました。
――2021年11月に発表した長期ビジョン「Nissan Ambition2030」の狙いは
「Nissan Ambition2030」は、これから10 年をかけて、日産が進んでいく方向を示す羅針盤として策定したものです。
人々の生活を豊かにするために、日産の強みである「イノベーションをドライブし続ける」ことをコーポレートパーパス=存在意義として打ち出しました。目指す将来や存在意義を従業員に理解してもらうことが、社内の原動力にもつながります。
「電動化」を戦略の柱に据え、人々の移動の可能性と社会の可能性を広げたいという想いから、「共に切り拓く、モビリティとその先へ」をスローガンに掲げました。
環境分野への対応は待ったなしの状況です。事業の成長と環境の維持を、どのようにバランスよく進めるかを含めて長期ビジョンを策定しました。
――「Nissan Ambition 2030」のポイントは
日産は電気自動車のパイオニアです。2010年に発売したリーフは累計55万台以上を売り上げており、そのノウハウを念頭に「電動化」に1つの戦略を置きました。
当社は2030年代早期に主要マーケットに投入する新型車を100%電動車両とすることを宣言しました。カーボンニュートラルに向けたスピード、法規制、お客様の受け入れ方は市場によって異なります。「100%電気自動車にします」という表現ではなく、「新車として提供できるよう準備します」というメッセージを伝えることが重要だと考えています。
今後5年間で電気自動車に2兆円を投資し、2026年までに日本市場では60%以上の電動化比率を目指します。全固体電池についてはそれまでに1400億円を投資し、2024年にパイロットプラントを日本に設け、2028年に量産化を始めたいと考えています。全固体電池で次のステップに向かいたいと考えています。
(続きは、経済産業新報・本紙で)