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ナノメートル分子輸送システムを実現 自走するナノマシンを開発 ~NICTと兵庫大
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、徳田英幸理事長)未来ICT研究所の指宿良太研究員と古田健也主任研究員らの研究グループは、兵庫県立大学と共同で、DNAナノチューブのレール上をプログラムどおりに動くナノマシンを開発し、新たな分子輸送システムを実現した。
ナノメートル(1 mm の100 万分の1)サイズの分子を自在に動かして制御することを目指したナノマシン研究は、情報工学・バイオテクノロジーなど多分野に応用できる可能性があるため、世界中で研究が行われている。
しかし、マシンのサイズをここまで小さくすると、周囲の分子の熱運動による激しいノイズにさらされるため、既存の技術でナノマシンを制御するためには、外部から熱ノイズを圧倒するようなエネルギーを投入して逐一指令を与える必要があった。
そこで注目したのが生物由来のナノマシンで、熱ノイズのわずか20 倍程度のエネルギーを与えれば自ら一方向に動く「生物分子モーター」であった。
開発したのは天然の生物分子モーターをベースにしたナノマシン。DNA ナノチューブのレール上の「DNA塩基配列で書かれた命令」を読み取り、この命令どおりにレールに沿って自走する。さらに、異なる命令を読み取る複数のナノマシンを開発し、レールに「右に進め」「左に進め」などの命令を埋め込むことで、ナノメートルサイズの「荷物(分子)」をプログラムされたとおりに仕分ける分子輸送システムを実現した。
図1 Y字型のDNAナノチューブ上で二種類のナノマシンが「荷物」を仕分けている様子を描いた模式図
今回、天然のレールよりも大幅に制御しやすいDNAナノチューブ上を自走するナノマシンを創出できたことで、生物を模倣した情報処理システムの研究にブレークスルーをもたらす可能性がある。
なお、本成果は、米国総合科学誌「Science」3 月11 日号に発表された。
(詳細は、経済産業新報・本紙で)