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全国を400Gbpsの超高速でつなぐ ~NIIが次世代学術研究基盤をスタート
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構、国立情報学研究所(NII、喜連川優所長)は、従来から研究開発に活用されているSINET5を、400Gbpsの超高速ネットワーク基盤(SINET6)にアップグレードした。このネットと研究データ基盤「NIIリサーチ・データ・クラウド(NII-RDC)」を融合させ、4月1日より「学術研究プラットフォーム」として本格運用を開始した。
現在、ネットワークとITの進歩がAIやIOTの急速な発展を促しており、実世界のあらゆる活動から取得したデータをサイバー空間で解析し社会生活の効率化や変革に役立てるデータ駆動型社会(Society5.0)を迎えつつある。この次世代学術研究プラットフォームの登場は、今後日本の研究開発の巻き返しに大きく貢献しそうである。
喜連川所長によれば、「狭い日本の国土に、400Gbpsのネット基盤は面積密度で圧倒的に世界一である。欧米では2009年ごろから”第4の科学”すなわち、方程式のない新しい世界をデータ駆動型で解明していこうという流れが加速している。データとAIを使い、サイエンスを極める、次世代学術研究プラットフォームという武器が日本にできたことになる」と語った。
このネット環境(2022~2027年度)では、「ブルーレイディスク(50G)の映像を1秒で送れ、8Kの映像までも伝送可能である」(NII・漆谷副所長)。そのため、NIIが協力して進めている北海道と九州間(2000km)の遠距離での遠隔医療の実証実験が加速していくと予想されている。
また、政府か提唱するSoceity5.0では、大学や国研で得られた研究データは、全てNIIのリサーチ・データ・クラウドに集約されるため、今後の日本のサイエンスの強靭化に果たす役割が大きくなっていくだろう。
年々増大する通信量に、SINET6は、400Gbps超高速光伝送、5Gの超高速モバイルアクセス、多様なVPN(仮想専用網)など超高速の有線と無線が融合した革新的でセキュアな環境を提供する。
また、大容量データを扱う大型研究施設や大学を支援する国内接続点の拡大、海外の研究用ネットワークとの国際接続の強化を図っている。
(つづきは、経済産業新報・本紙で)
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