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ドローン実証から実用化へ大きく変化 ~2022年度の法改正(予定)と業界の変化・影響予測!
2022年度は「航空法の一部を改正する法律」が施行される運びである。これにより第三者上空を目視外で飛行する「レベル4」によるドローンの運用が可能となり、業界は大きな一歩を踏み出す歴史的な年になると言って良いだろう。
この航空法改正は機体認証制度と免許制度の二本の柱で構成される。まず6月20日施行予定の機体登録制度により、飛行できる機体はその性能や機能によって一種・二種に分別され、これに追従する無人航空機操縦士の国家資格制度では資格を一等・二等と分ける。
これら二つの基準の組み合わせによって無人航空機による可能な運用形態を明確にするものである。さて、このような背景にあるドローン業界において今年はいったいどんな動きが起こりどう変わるのかを予測してみたい。
空の物流産業の幕開け
ドローンによる物流分野では、これまで複数の自治体や民間企業が実証実験を繰り返してきたが、関連する団体にとっては待ちに待った法改正である。これで実験から実運用フェーズに進む上で大きな課題の一つがクリアーになるからだ。
しかしここで懸念されるのは、使用する機体の認証に伴う対応である。レベル4で使用される機体は一種認定基準をクリアーしなくてはならず、製造メーカーはこの基準を満たす機体の開発を余儀なくされる。しかしこの基準は簡単にクリアーできる内容ではないと予測される。
第三者上空を目視外で飛行する機体である以上、特に安全面で十分に配慮された機体である必要があるからだ。ドローンによる物流事業を推進する企業においては、タイミング良く一種認定機体を確保できるかどうかが鍵になるだろう。
いずれにしてもこの分野では実証実験から実用化へと大きくそのステージが変わることは間違いない。この分野に活気が宿り新しいプレーヤーが名乗りを上げるかもしれない。
既存のドローン産業に追い風
農業水産分野の害虫駆除市場も順調に拡大しているほか点検分野におけるプラント施設や送電インフラ、建物の壁面や屋根の点検などにおいては、すでに実証実験から実用化へのシフトが進んでおり順調に市場が伸びている現状にある。これら既存の分野においても今年の法改正は追い風になりそうだ。
(中略)
総じて、ドローンの運用基準がより明確になることでドローン運用はより円滑になり、そしてレベル4分野においては法律の扉が開き新しい産業が産声を上げる。このように今年の航空法の一部を改正する法律の施行は業界にとって吉事になるだろう。新型コロナの影響もあって少し重たい空気に包まれていた業界だが、各分野のプレーヤーの迷いが晴れ、そして業界全体が然るべき方向へ一斉に動き出す。そのような年になる事を期待したい。
(イノベーション戦略研究所 ドローン取材チーム)
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