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水素大量消費時代、パイプライン敷設を ~エネルギー白書2022
政府は7日、エネルギー白書2022(令和3年度エネルギーに関する年次報告)を閣議決定・国会報告した。今年度は、ロシアのウクライナ侵攻や世界的なエネルギー価格の高騰といったエネルギーをめぐる不確実性への対応に加え、カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応、福島復興の進捗についてテーマが設定された。白書のポイントは次のとおり。
エネルギーをめぐる不確実性への対応では、①世界的なエネルギー価格の高騰、②ロシアのウクライナ侵略によるエネルギーへの影響、③世界的な資源高と各国における影響について解説する。
1つ目の世界的なエネルギー価格の高騰では、2021年に世界各地で電力需給のひっ迫が発生した要因として、2015年以降、原油価格の下落に伴って化石資源投資が停滞し、脱炭素の流れも重なって供給力不足が深刻化したこと、新型コロナウイルス感染症からの経済回復によって各国のエネルギー需要が増大する中、悪天候や災害が重なって風力等の再生エネルギーが期待どおりに動かなかったことを挙げた。
また、新型コロナウイルス感染症からの経済回復の過程で、世界のガス火力依存度が上昇した。こうした中、欧州では2021年初頭の寒波で暖房需要が増加し、域内ガス在庫を取り崩し(例年比2割減)、欧州が世界で天然ガスに加え、原油、石炭を買い求めたことにとって価格が急上昇していたところ、ロシアのウクライナ侵略で価格上昇がさらに加速したと指摘する。
2つ目はロシアのウクライナ侵略によるエネルギーへの影響。欧州は化石燃料をロシアに大きく依存しており、ロシアのウクライナ侵略は欧州のエネルギーにとりわけ大きく影響した。
ロシア国営企業ガスプロムの欧州向け天然ガス輸出量が2021年中頃から年末にかけて減少したことに加え、同社の長期契約の価格決定方法が天然ガスのスポット価格連動が大半となっているため、天然ガスのスポット価格の高騰が欧州の長期契約分の高騰に直結した。
(中略)
福島復興の進捗では、エネルギー政策を進める上での原点~原子力災害からの福島復興について解説する。
東京電力福島第一原発の廃炉の完遂と福島の復興は最重要課題だ。事故後11年が経過し、一歩一歩取り組みは進展しているが、中長期的な対応が必要な残された課題に、国が前面に立って着実に取り組んでいく必要性を指摘した。
東京電力福島第一原発の廃炉については、事故炉が冷温停止状態を維持、構内の放射線量が大幅に減少しており、廃炉に向けた作業として、汚染水・処理水対策、プール内燃料取り出し、燃料デブリの取り出しを着実に進捗させている。風評対策の徹底、ALPS処理水の処分、使用済み燃料プール内の燃料の取り出し、燃料デブリの取り出しが残された課題だ。
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