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2022/08/12

Society5.0実現に半導体は不可欠 ~連載「デジタル革新と半導体産業」半導体戦略会議メンバーに聞く

デジタル産業やその基盤となる半導体を取り巻く環境が大きく変化する中、日本の半導体産業復活への道筋について、半導体・デジタル産業戦略検討会議のメンバーで、前東京大学総長の五神真・国立研究開発法人理化学研究所理事長に話を聞いた。

 


 

――半導体・デジタル産業戦略検討会議のポイントは?

半導体産業と言うと、最終製品のチップとして捉えがちだが、半導体は現代社会すべてをささえる基盤という意味がある。一方、国際的な社会課題も深刻化しており、デジタル革新をいかにその解決につなげるかが鍵になっている。

デジタル革新と共にサイバーとフィジカルの融合が進む中で、その融合が生み出すシステムを活用して、格差の解消や地球環境問題といった社会的課題を解決する社会を目指す、そういった思いを込めてSociety5.0という社会ビジョンを作ったはずだ。

そこに誰もが参加できる社会の実現には、セキュアかつ消費電力を抑えて情報をやりとりすることが不可欠だ。そのためには、半導体が不可欠であり、その技術開発をしていくことが重要だ。

そういった問題意識を共有することの重要性を会議で強調してきたが、メンバーにも共感をもって受け入れていただいた。

 

――半導体産業凋落の原因は?

半導体の微細化が進むごとに投資額が巨大化していく中で、総合家電メーカーなどを中心とした日本の産業構造では集中化が難しかったということがある。

また、後付けの議論になってしまうが、規模感のある先行投資を可能とする国家的な戦略を打ち出す必要があったが、国家財政が急速に悪化する中で、公共サービスについても、市場化による効率化の流れに向かう中、真逆の政策を打つことは難しかった。

 

図2 日本の凋落

 

――復活に向けた道筋は?

現在のEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置は電力の利用効率が良くないなどまだ途上の技術。技術開発はまだこれからも続く。EUVリソによるナノ領域のプロセスはサイエンスとしてもやらなければならないことも多い。まだ伸びしろのある技術であり、第2、第3のフェーズがやって来るだろう。先を見据えた研究開発に直ちに着手することが必要だ。

 

(中略)

 

――どう国際連携すべきか?

研究開発の最前線では国際連携は必須の前提だ。海外のトップ・プレーヤーと連携できる体制を構築することが必要となる。海外のトップ・プレーヤーも意味もなく日本に来る訳ではない。コラボする価値があるモノを見せなければ連携もできない。

最先端のところと連携できる先端の力を日本側も備えておくことが重要だ。さらに、日本と海外という区分けの中で議論すること自体が古い考え方だ。重要なことは、日本の様々な潜在力や人材が世界で活躍できるようにすることである。

 

図1 世界の半導体プレイヤー

 

――半導体産業復活に向けて

Society5.0というコンセプトは社会の未来像であるとともに、日本の勝ち筋となるビジネスプランを探るためのモデルでもある。Society5.0から日本の勝ち筋を具体化する議論をしていかなければならない。

インクルーシブ(みんな一緒)でサステナブル(持続可能)な社会を実現するためには、例えば、安心して情報を共有できるようなセキュリティを確保したり、カーボンキャプチャに優れた新植物を開発したり、何十年もかかるような研究開発を加速する取組みが必要だ。

データをリアルタイムで共有し、高性能な計算機で計算することによって、研究開発をハイサイクルで回すことができる。データ活用とコンピューテーションが極めて重要であり、それを進展させるためのベースとして必要となるのが半導体の高度化だ。

Society5.0をキーワードにビジネスモデルを展開する。その仕掛けとして、データのリアルタイム活用が鍵だ。計算可能領域の拡張が極めて重要となる中、半導体の省電力化とパフォーマンスの向上が重要となっている。

 

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