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2023/02/01

大型補正予算のポイント ~経済産業省大臣官房会計課長 坂本里和氏に聞く

 経済産業省の予算は、令和4年度2次補正と令和5年当初予算を合わせて12兆8170億円の超大型予算となっている。この解説を事務室移転中の大臣官房会計課坂本里和(さかもとりわ)課長に解説してもらった。

 

 6割は物価高騰・賃上げ対策に

 

 官房3課長の一角に、女性課長が就いたのは初めてのことであるが「今採用では3割が女性なので」とさらりと受け流す。今回、大型となった補正予算は昨年10月28日の閣議決定による『物価髙克服・経済再生実現のための総合経済対策』である。

 「原材料価格の上昇や円安の影響により、エネルギー・食料品価格の上昇が国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしている。この難局を乗り越え、日本経済を一段高い成長路線に乗せていくための措置が大型の予算につながった」。

 内閣府の試算によれば、この経済対策により、実質GDP押上げ4・6%程度と見られている。

 

補正予算1

補正予算2

 

 柱は3つ。

 1つは「物価髙・円安への対応」、2つめは「構造的な賃上げ」、3つめは「成長のための投資と改革」である。

 「経産省の補正予算11兆円のうち約6兆1000億円が電気・ガス・燃料油価格激変緩和対策事業に充てられています」。影響を受ける家計や企業の負担軽減など、小売価格急騰の抑制を図っていく、という。
 2つめは、中小企業・小規模事業者の事業継続・生産性向上・転嫁円滑化・資金繰り支援に補正1兆1191億円が投入される。うち半分(5800億円)は中小企業等事業再構築促進事業に充てられている。

 

 GXやスタートアップ支援に力

 

 3つめは、経済社会課題解決への大胆な官民投資に2兆3686億円がついた。「グリ-ンイノベーションなど脱炭素社会の実現、半導体サプライチェーン強靭化支援などデジタル社会の実現、経済安全保障に力を入れている」。
 さらに、量子・AI・バイオ技術の社会実装を加速する等のため、科学技術・イノベーションへの投資(9868億円)を増強している。「ヘルスケア産業の高度化事業や、創薬ベンチャーエコシステム強化やバイオモノづくり革命推進事業にも取り組んでいく」。

 その他、挑戦を後押しする基盤整備として、『人材育成』に特に力を入れている。リスキリング(学び直し)を支援する仕組みの整備やスタートアップ・エコシステムの強化がメインとなる。「ユニコーン創出事業や事業化に時間のかかる、ディープテック・スタートアップ支援などを行う予定だ」。
 「大きな予算を頂いているので、予算執行もしっかりやっていきたい」と語ってくれた。

 

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