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2023/02/10

DX投資からリターン99% ~KPMGグローバルテクノロジーレポート2022

 企業のデジタル戦略を探る「KPMGグローバルテクノロジーレポート2022」(日本語版)がKPMGコンサルティング(宮原正弘代表取締役社長兼CEO)より、発表された。


 

 このレポートは、世界15カ国、2200人以上の経営層を対象に、20年以上にわたりCIO(最高情報責任者)とテクノロジーリーダーに実施してきた「グローバルCIO調査」の調査対象範囲を、今回より幅広い経営幹部層へと拡大した。
 デジタル化の現状と課題、デジタル化先進企業に見える特徴など、テクノロジー業界を代表する専門家へのインタビューなどの内容をまとめたもの。
 今回注目すべき調査結果は、DX(デジタルトランスフォーメーション)投資からリターンを生み出すことができたと回答した経営層の割合が、99%に達した点だ。
 次に、多くの企業においてWeb3、メタバース、量子コンピューティングなどの主要な先端テクノロジープラットフォームが採用されるまでの想定期間を、今後2年以内と回答している。また、クラウドシステムの導入に進展がみられたと回答した企業の割合は、10社中9社となった。
 そして、デジタル技術の導入において、企業が直面する課題の第1位として、人材不足を挙げていた。セキュリティ対策スケジュールに遅れが生じているとしたサイバーセキュリティチームの割合は、58%に達している。

 

KPMG図表

 

 今回の調査からは、経営層が自社のDXが期待通りの成果を挙げている点に自信を得て、今後の施策にも前向きに取り組もうとしていることが明らかとなった。市場の混乱や地政学上の緊迫は続いているものの、企業は新たなテクノロジーを受け入れ、新たなツールに投資する方向へと進んでいる。
 回答者のほぼ全員が、過去2年間にDXによって自社の収益性と業績が向上したと回答している。また、主要な導入マイルストーンに対しても、計画より早く到達していることが明らかとなった。

 

 さらに新デジタル技術に、課題は「人材不足」

 

 さらに、アプリケーションモダナイゼーションとインテリジェントオートメーションについては、1年以内に優先的に取り組む可能性が高いと回答しており、これらの領域において多くの企業が早く成熟することを期待している。
 また、今回の調査からは、先端テクノロジーを声高に求める動きが広がっている。今後2年以内におよそ67%がメタバース、非代替性トークン(NFT)、Web3などの先端テクノロジーの採用を計画しており、72%の回答者が量子コンピューティングへの投資を予定している。

 

◎デジタル成熟企業の7つの特徴

 

① 組織間の風通しを良くするため、サイロ化を解消している
② 人材不足の解決に自ら取り組んでいる
③ クラウドに対するステークホルダー間の緊密な連携を構築している
④ サイバーセキュリティの専門家が、早い段階でテクノロジー選定や社員研修に必ず関与するようにしている
⑤ 顧客の声を活かした先端テクノロジー戦略を描いている
⑥ 顧客体験を向上させるため、プラットフォームプロバイダーを変更する準備を進めている
⑦ 臆せず新たな手法を賢明に取り入れている

 

 この報告を解説した同社の尹暢模(ユン・チャンモ)TTMユニット総括パートナーによれば、世界も日本も新しいデジタル技術を採用する際、最も重要な課題は人材不足を上げている。
 しかし「日本は人材コストの高さとリスク回避型の企業文化がネックとなっており、変化やイノベーションを受け入れない体質に課題がある」と指摘していた。

 

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