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2023/02/28

日本はDX人材の「量」不足が進展 進む「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」 ~IPA「DX白書2023」を公開

 IPA(独立行政法人情報処理推進機構、富田達夫理事長)は、日米企業におけるDX動向を比較調査し、戦略、人材、技術の面からDX推進の現状や課題などを包括的に解説する「DX白書2023」のPDF版を公開した。

 


 

 今回の白書では、新たに154件の公開事例を分析し、日本のDX事例を「企業規模」「産業」「地域」の三つの軸で俯瞰図として可視化した。例えば、「地域」別俯瞰図では、北海道では農業でのデジタル活用、甲信越ではドローンによる森林調査など地域産業での活用、東北、北陸、四国では働き手の減少や高齢化といった地域課題の解決への活用がみられることが分かった(図1)。

 

図1日本のDX事例

図1 日本のDX事例

 

 日米企業アンケート調査では、日本企業のDXはデジタイゼーションやデジタライゼーションの領域で成果はあがっているものの、顧客価値創出やビジネスモデルの変革のトランスフォーメーションレベルでは成果創出が不十分であることが分かった。

 人材面ではDX推進における課題が顕著にあらわれ、技術面では、特にスピード、アジリティ向上に必要となる手法・技術の活用が米国企業に比べて遅れが明らかになった。

 IPAでは、「IT人材白書」、「AI白書」を発行してきたが、2021年から人材と技術の要素を継承しつつ、戦略の視点を加えた新たな白書「DX白書」を刊行している。今回は、第二弾として、国内DX事例の分析に基づくDX取組状況の概観、日米企業アンケート調査結果の経年変化や最新動向、DX推進への課題、今後の方向性などを解説する「DX白書2023」のPDF版を公開した。

 

◎今回の調査の主なポイント。

 戦略面では、DXに取組んでいる企業は69・3%となり、昨年度に比べ13・5%増加した(図2)。しかしながら、全社戦略に基づいて取組んでいる割合をみると日米で13・9%の開きが見られ、日本企業における組織的なDXの取組が期待される。

 また、DXによる成果の有無をみると、日本では「成果が出ている」とする企業の割合は前回調査より増加したが、日米差は依然として大きい。(図2)

 

図2日米比較DXの成果

図2 日米比較 DXの成果

 

 さらに、取り組み内容に対する成果では、「新規製品・サービスの創出」や「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの抜本的な変革」といったトランスフォーメーションのレベルでは日本が20%台に対し米国は60%以上と大きな差がついている。

 また、IT分野に見識がある役員の割合が3割以上いると答えた企業は日本が27・8%、米国が60・9%と、2倍以上の差があった。DXの推進には、経営のリーダシップが不可欠であるため、日本でも経営層のITに対する理解度を高めていくことが求められます。

 人材面では、DXを推進する人材の「量」を調査したところ、人材が充足していると回答した企業は、日本で10・9%、米国で73・4%と顕著な差があった。日本ではDXを推進する人材の「量」の不足が進んでいることが分かった。

 また、DXを推進する人材像の設定状況に関しては、人材像を「設定し、社内に周知している」企業の割合は日本では18・4%、米国では48・2%でした。日本では「設定していない」割合が40・0%を占め、米国ではわ2・7%と非常に大きな差が見られた。人材の獲得・確保では、まず自社にとって必要な人材を明確化することが重要である。

 技術面では、「マイクロサービス/API」は日本では21・1%(米国57・5%)、「コンテナ/コンテナ運用自動化」は10・5%(同52・1%)と、大ききな差があった。また、データの利活用については、日本企業はまだデータ利活用の基礎段階であることが分かった(図3)。

 白書では、アンケート調査結果のほか、ユーザー企業へのインタビュー調査による事例紹介や、有識者によるコラムなどを掲載している。

(白書の詳細は、 https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/dx-2023.html

 

(詳細は経済産業新報・本紙で。電子版試読キャンペーン実施中。)